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【黒】い海の底
暗い、暗い世界。
色鮮やかなモネの世界さえ、呑み込んでしまう世界。
【黒】に塗りつぶされた世界で、僕は足掻いていた。
僕が『青柳藤』で在るために、すべてを断ち切ってでも世界にいるんだと。
なにを棄てたって構わないと思っていた。————はずなのに。
たったひとり。
僕を想って泣いてくれる、大切にしたいあの子。
あの子のためなら僕は、どんな『青柳藤』にでもなりたいと、流れ星にさえ強く願った。
だけどその願いは重すぎて、僕の願いを乗せた流れ星は。
深い海に堕ちて、沈んでしまった。
誰か、誰か。
誰でもいいから、誰か。
僕が救いを求めて伸ばした腕を、拾い上げてください。
僕はもう……疲れてしまって、空には戻れないんだ。
僕の世界は【黒】の海。
光さえ届かない、常闇が無限に広がっている。




