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詩集  作者: 水島素良
14/19

暖炉の上の人形が


暖炉の上の人形が

どうしてあんなにたくさんあるか

教えてあげる


あれは昔おじいさんが

戦場で殺した人たちよ

殺した人の数だけあるの


それがあなたのためだって

それかみんなのためだって

そう教えられたから


でも本当はわかっているわ

彼は正しくなんかない

誰も正しくなんかなかった



人形達は夜な夜な踊る

『お前の幸福は本物か?』

『壁に骨が埋まってないか?』




あなたの部屋にある染みや穴

それはあなたが殴って

不幸にした子供の数


男であれば偉いという嘘

稼げば何をしても良いという誤解

それを信じた愚かなあなた


壁を見ながら人々は言う

『一体どうしてこの男

こんな人間のクズになった?』


壁の跡は夜な夜な歌う

みんなあなたが大嫌い

迷惑だから早く死んでね



裕福な観光客が

夜景に見とれる、この街で

今日もまた

多くの人が殺されている




夜の明かりは夜な夜な歌う

お前たち

ああ、お前たち

どうしてそんなに愚かなの?



暖炉の上の人形が

夜な夜な奇妙な歌を歌う


忘れさせてなどやらないぞ

お前が変わらない限り

いつまでもつきまとってやろう




子供達は家を出た

一人は世の中を変えるため

一人は自分を守るため

その他はまたそれぞれに



古い時代の悲しみを

愚かな男への憎しみを

思い出さないために


そして、忘れないために







やがて家は取り壊されて

人形たちは燃やされた


しかし灰は風に乗り

この地球の一部となって

夜な夜な囁きを交わす





あんな奴にならないでね

あんな世界にしないでね













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