人亜城都
村を襲う賊を全滅させてから数日
どうにか4人で帝国国境までやってきた
「前から誰か来るよ?」
「帝国の兵士ですね。こちらの状況は伝えていたので迎えに来てくれたんでしょう」
ん?
「どうやって伝えたんだ?」
「え?妖精を使ってですが?」
妖精・・・・そんなのもいるのか
-ごめん、そういえばこの世界の魔法について話してなかったね-
そういえば聞いてなかったな
だがそんな話を聞いてる暇はなさそうだ
「迎え。というにはやけに重武装なんだが・・・大丈夫なのかこれ?」
「え?あ!ほんとだ。なんでフルプレート着込んでるんでしょう」
とりあえずいつでも戦えるように武器は手に持っておく
単純に強そうだからと思って馬上槍なんて持ってきたが取り回しにくいなこれ
「テウルネス様!御無事で何より!」
「迎えの兵士か?」
「ハッ!しかしながら我々はこれより南の村落に向かわねばなりません。馬車はご用意しております。そちらで帝都まで向かってください」
結構立派な馬車である
アレだ。ベルなんとかに出てきそうな貴族の馬車
ソレをダウングレードしたような感じのヤツ
「南に?魔獣か?」
「魔獣の方がまだいいかと。・・・・腐れです。それも大規模な」
「馬鹿な・・・大森林側で腐れなど今まで起きたことなどないぞ?」
ヘイ!クインリイ!腐れってなんだYO
-何その奇怪な話し方-
もうね、全然話についていけない
-う~ん、どうせこの後説明されるだろうし知らないほうが都合がいいんじゃないかな?-
本音は?
-めんどくさい♪-
「メイル!とりあえず腐れはあちらに任せましょう。我々は帝都に向かいます」
「わかった」
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馬車に揺られ2日ほど
目の前には巨大な街が見えてきた
「あれが帝都だ」
いや・・・あれは都っていうか
「何この要塞・・・・」
「驚かれましたか?これが我が帝国が誇る中心地、その名も人亜城都です」
じんあじょうと
言いにくいなぁ・・・
巨大な城壁に巨大な城門
その城門が開けばこりゃ立派な街並みが現れた
「高いなぁ・・・」
その立派な街並みは城門から遥か下に見えた
「止まれ!許可証を見せてもらう」
衛兵かな?が馬車を止める
御者が少し黄ばんだ粗い紙を渡す
「ありゃ羊皮紙か?」
「何かおかしいか?」
「ん?いや特におかしくはないがな・・・」
これだけ高度な建築物があるのに未だに羊皮紙なのか
「植物紙ってしってる?」
「??????」
この様子だとパピルスも知らんだろうな
そもそもこの世界にカミガヤツリがあるかもわからんが
「許可証を確認!大橋!降ろせぇぇぇ!」
衛兵の大声と共に鎖の擦れる音が鳴る
そして街の上空に巨大な橋が架けられ1キロほど先にある城への通路が現れた
どんな技術使えばこんなの作れるんだ?物理法則無視しすぎだろ
-詳しくは知らないけどまぁドワーフなら可能じゃないかな?-
なるほど、なんでもありか
「さて、テウルネス。ひとつ問題点があってだね」
「なんでしょう?」
「俺、礼儀作法とかわからないんだけど?」
「そこらへんは大丈夫。僕が何とかするよ。メイルは鎧を全部着て堂々と立っていればいいよ」
「大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫大丈夫。テウルネスはプラチナの方をよろしく頼むよ」
まぁいきなり皇帝に無礼なことしたらまずいからなぁ
クインリイに任せるのが正解か
それが正しいことなんだと思っていた時期が私にもありました
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「皇帝陛下の前であるぞ!なぜ兜を取らん!なぜ膝を突かん!不敬者め!」
やべぇよやべぇよ
周りの人たちすっごい怒ってんじゃん
-大丈夫だよ。ほら、背筋伸ばして堂々として-
とりあえずクインリイの言うとおりにして行動した結果がこれである
「不敬者は貴様等である。彼の者は偽りなく天神より遣わされたもの。人間の長を同位と扱うことはあっても上と見ることは無い」
クインリイが突然現れたことで豪華な服を着た奴ら・・・たぶん貴族かな?が驚いている
「よい」
眼前の皇帝?が手を軽く上げ答えると貴族達は完全に黙ってしまった
「家臣が無礼を働いてしまったな」
「そうだね。君達はもう少し冷静さを持つべきだ」
挑発したのは間違いなくこっちなんだがな
「以後気を付けよう。なので今回は無礼を許してほしい」
「次が無ければ許すさ」
「それでは詳しい話は後日するとして・・・予言の件だが」
予言ってあれか?ヒトビトに絶望をとかいうの?
「君たちが今のまま愚かな行為を繰り返さなければ不安に思うことは無いさ。だがこのまま進めばすべてが腐れになるだろうね」
「それは神の御意志か?」
「神は関係がないよ。それはただの結果。無知のまま力を振るう代償だよ」
「左様か・・・長旅ご苦労であった。今はゆっくりと休んでくれ」
「そうさせてもらうよ」
-行こう。仕込みは済んだ-
仕込み?この短い間に何をしたんだ?
-それは今夜にでも解るよ。多分呼ばれるから-
う~む・・・全然わからん
玉座を出る際に様々な人物の視線が刺さった
怒りもあれば好奇なものも
肝心の皇帝は
なぜか今にも笑い出しそうな顔をしていた