ケモノと言う名のヒト
世の中強いやつが正しい
目の前にいるやつらは武器を持つ勇気もなく
目の前の女を助ける勇気もなく
助けに来ても戦い方も知らず殺される
そして俺たちは女を手に入れ好きにできる
若い女で毎日遊んで
飽きたら荒野に離して
後ろから弓を撃つ
一発で死ねば俺たちは運がいい
一発で死ななければ女の運がいい
だから今度は剣でゆっくり切り刻む
矢が足を貫いて痛がる女に跨って
恐怖に顔をゆがませた顔を堪能しながら
なんて素晴らしい人生だ
そんな日々が続いていた
そんな日々がこれからも続いていく
それが決まっていたはずなのに
そのソレは弱いやつらの中から飛んできた
「え?」
馬に乗っていた俺は突然落ちた
いつもは女の上に乗っていた俺が
今度はソレに乗られていた
「死ね」
自分の額に冷たい物が触れる
そのあとは知らない
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「おせぇなアイツら・・・」
「ボスぅ・・・あいつ等我慢できなくて村の中でお楽しみ始めたんじゃねぇですか?」
「かもしれねぇなぁ・・・あいつ等前も一番若い女をつまみ食いしやがったし」
村で一番若い女は俺が最初に頂くっていつも言ってるんだがな
あいつらは自制というものがねぇ
「ん?・・・ボス!なんか1人こっちに来ますぜ?」
「あ?・・・おいおい最近入ったばかりの下っ端じゃねぇか?」
部下がやってきた下っ端に詰め寄る
「どうした?なんでお前一人で戻ってきた?」
下っ端の様子がおかしい
正気を失っている
「あくま・・・あくまだぁあくまがやってくるぅみんあんしぬおれもあんたもあんたらもみんなみんなみんなみんなあいつにころされれれれるろれ」
訳の分からない言葉の直後に下っ端の体は倍近くに膨れ上がった
パンッと破裂する
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ひ、ひぃぃぃぃ熱い熱いぃぃぃ!」
破裂した肉からは赤く光る何かが飛び散った
そしてそれに触れた部下たちは
「ひ、ひぃ!体が!体が溶けぇ」
激しい痛みを感じ溶けていく
腕や足であれば骨だけになってもまだ生きている
胴体であれば手遅れだ
どっちにしても死ぬまで悲惨な状況が続くのだが
「ガムド!何の魔法だ!」
側近のガムドに問う
ガムドは元は魔法の研究者である
効率的な実験をしていたが祖国では認められなかったらしく国を離れ{極めて効率的な実験}を行っていたらしい
「見たことのない魔法です。ですが似たようなものでは土属性の腐食や無属性の呪いがありますね」
「対処法は?」
「溶けた傷跡に触れなければ問題ありません。触れれば終わりです」
「なるほどな・・・お前ら!」
手遅れで2次被害が起きるならやることは決まっている
「殺せ」
「ひ、待ってボス」
「やめて、お願いです助けて」
自分達もこんな死に方はしたくないだろう?
なら俺の言うとおりに仲間を殺すのが正解だ
-我々も外道ではあるが・・・お前たちも救いようがないな-
何処からか声が聞こえる
「ボス、上から魔力の反の・・・」
ガムドの上に何かが落ちてくる
直後にガムドだった肉の塊は喋らなくなった
-障壁、展開-
黒いドームに全員が包まれる
「てめぇ!」
頭に向けて大剣を叩き込む
しかしその剣は
「な?え?消え・・・」
訳が分からないままに自分が喋れなくなった
自分の喉に槍が刺さっていることに気付ききずいたけどこれどうすればやめていたいもちあげないでしぬしぬしぬいだいいだい
さいごのきをくがぶちりとじぶんのくびがちぎれるおとでシた
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「ひぃぃぃたすけてたすけてぇぇぇ」
必死になって見えない壁を叩く
その塊に近寄っただけで人間が潰れた
その塊に切りかかっただけで剣先が消えた
その塊の声を聴いただけでみんな蒸発した
なのに自分は声を聴いても蒸発しない
なんでなんでなんでおれだけいきてるの
死にたくないのに死ぬのは怖いのに
なんでこんなに俺たちだけが声を聴いて生きてるのに
こんなにいっそころしてほしいとねがっているの?
-そんなに死を願うのかい?なら・・・-
そんな声を聴いた
気が付けば塊は居なくなっていた
「たす、たすかった?」
「なんだよいったい!なんだったんだよあれ!」
「俺が知るかよ!とにかく逃げないと」
「そ、そうだ!とにかく武器や食料をできるだけ持ってここから離れよう」
でもおれたちはかんぜんにておくれだった
-人間にすらなれないニンゲンよ。己のこれまでの行いの報いを受けるがいい-
「か、壁が!壁が迫ってくる!」
「壊せ!壊すんだ!」
「どうやってだよガムドさんは!」
「もう死んじまってるよ!」
透明な壁がどんどん小さくなっていく
「た、たすけて」
「なんで、なんでこんな」
「俺たちが何でこんな目に」
-あぁ・・・君たちは理解すらできないんだね・・・報いすら-
全身が締め付けられる中で目の前が真っ赤になっていく
あぁ・・・・
なんでこんなことに
次回投稿までしばらく間が空きます