稼ぐ
クインリイと二人で村のギルドに入る
ギルドの中は凄まじい酒の匂いがしていた
小汚い服装の屈強なオッサン方が鋭い目つきで睨んでくる
このパターンは
「よぉ・・・綺麗な女の子はべらせてこんなところに来るなんてどっかのお坊ちゃまかな?」
ほら絡まれた
-冒険者なんてみんなこんなもんだよ-
どうするのが正解だ?
-とりあえず殺さない程度に腹パンでいいんじゃないかな?-
それが一番手っ取り早いか
ノータイムでできるだけ加減して腹を殴る
それだけでオッサンは気を失った
-戸惑ったら舐められるよ。何食わぬ顔で依頼版で任務を探して-
こういう時この鎧は便利である
表情を悟られないというのはニンゲン相手には有利だ
------
スライムの群れ討伐
「楽だけど安いね。回数をこなさなきゃ」
狼の群れ討伐
「スライム程じゃないけどこれも安い」
北の外れに住み着いたはぐれ翼竜の討伐
「いい感じの依頼じゃない?報酬もいいし、僕たちなら楽勝だよ」
じゃあこれにしよう
------
さてサクッと北の外れに来たわけだが
はぐれ翼竜って書いてたけど多くないか?
-繁殖しちゃったみたいだね-
どうするよ?
-え?討伐しないの?-
出来るの?
-できるできる。その鎧って不壊属性ついてるでしょ?なら攻撃受け止めてカウンターで頭刺しちゃえば簡単だよ-
なんて簡単に言う
あんな化け物の攻撃をわざと食らえと言うのか
---------
討伐した翼竜は20を超えた
証拠として翼竜の喉に一枚だけ生えている逆鱗?を毟った
生きた心地のしない戦いだった
普通に斬っても簡単に躱されるし
攻撃受けても平気だけど迫力満点で怖い怖い
そして返り血まみれの鎧姿でギルドに入る羽目になったのである
そんな苦労をしたのにもらえた報酬はほんの少し
依頼内容ははぐれ翼竜1匹だったので増えたのは依頼としてカウントしてくれなかった
だが逆鱗はしっかりと全部持っていかれた
カウンターの係員のシメシメ顔には殺意を覚えた
とりあえずこのお金で二人の食糧、自分の武器、少女の衣服を買わねば・・・・
「よぉ・・・ずいぶん早いお帰りじゃねぇか」
「なんだ、腹パン一発で沈んだ貧弱男じゃないか。何の用だ?」
ちょっとイラついていたのでつい喧嘩腰になってしまう
「っ・・・・言ってくれるじゃねぇか。不意打ちが上手く行ったからって調子乗ってんじゃねぇぞ!」
腹パン男の掛け声に合わせて周囲の男たちが取り囲む
-あ、そういう事か・・・-
どうした?
-係員。こっち見て二ヤついてる、多分こっちを襲うところまで計画通りだよ-
なんて場所だ
-問題ないよ、全員敵なら加減する必要もないし-
「なぁお嬢ちゃん。そんな鎧男なんかより俺たちのほうがいいと思わねぇか」
「どういう意味かな?」
「俺たちのほうがよっぽど具合がいいってことだよ」
「まぁ断ってもいいぜ。どうせ全員でお楽しみさせてもらうからよ」
瞬間、クインリイの表情が変わった
今までの余裕がある表情ではなく
明らかに不愉快そうな顔だ
「君たちさ・・・」
「ん?」
「僕のことを侮辱するのは良いけど・・・彼のことを侮辱しないでくれるかな・・・」
「なんだよ!そんな男がお気に入りなのかお嬢ちゃん!俺たちのイチモツのほうがよっぽどでかいぜ」
なんかヤバいぞ
「君たちほど死んでほしいと思った奴は初めてだよ。サンダーウィスプ・・・」
小さくクインリイが呟いた
直後にその手から小さな電気が発生する
電気は凄まじい速さで次々と男たちに貫通
カウンターの係員にも降りかかる
そして全員が白目をむいて倒れこんだ
あと俺にも電気は貫通したがとくには問題なかった
鎧のおかげなんだろうが
「おい、いきなり撃つのはやめてくれよ、死ぬかと思ったぞ」
「その鎧ならこの程度の魔法は大丈夫だよ」
死んだのか?
「殺したら問題になるからね。死んではいないよ。殺してやりたいけど」