3章 新たな生活
ジリリリリリリリリリリリリリ
カチッ
時計は7時を指す。俺はだるい体を起こしながら、大きくあくびをした。今日からまた、地獄の日々が始まる。しかし、それに反して楽しみでもある。青春を取り戻すチャンス!俺は勢いよく立ち上がった。
3章 新たな生活
「おはよー!」
「あっ、おはよー!」
こんな会話が飛び交う朝。俺はスマホで道を見ながら久しぶりの通学路を歩いていた。今日は充電MAXにしてきたので大丈夫だ。しばらく携帯を見ながら歩いていると、周りの視線が自分に向いているような気がしてきた。それは、ドンピシャだったようで男子達と目があった。
「おい、あいつが学園にくるって、いったい何があったんだよ!」
「知らねーよ!あいつの事だ。絶対何か変な事でもあるに決まってるぜ。」
なるほど、そういう話題か。俺だって行きたくて行っているわけじゃない。ちっ、変な解釈ばっかりしやがって、迷惑でしかないぜ。
(無視して学園に行くか〜〜、)
俺は学園への道へ歩を進めた。その時、
「よっ!ヒロト〜!」
聞き慣れた声。これは間違えなく
「なんだよ、レン。何か用か?」
「そんな冷たい事言うなって〜!俺はヒロトが学園に来るって聞いてから、ここで何時間待ってたと思ってるんだよー!」
「はいはい、ご苦労様でし、ん?待て、聞いた?誰から?」
「え?アカネ先生だけど。」
(ちっ、余計な事しやがって。)
「ヒロト、学園行きながら話そうよ。」
「はぁー、わかったよ。」
レン、俺の幼馴染だ。昔からよく一緒に遊ぶ事が多かった俺たちは、お互いの事をよく知ってる。喧嘩もよくするし、なんだかんだで親友なのである。
(そーいえば、懐かしいな。この景色も)
エイラザーノ学園の校門から、エイラザーノ学園もみる景色。中学の時は、目を輝かせながら見ていたこの景色も、今となっては何も思わなくなってしまった。
(はぁー、学園生活。頑張るかー、今日は体育なかったよな。)
エイラザーノ学園の内側、魔法好きの人達には、たまらない構造。ところどころに魔法器具などがあり、外見と同じぐらいとても綺麗だ。9階建てで実験室や、資料室などなど、それになんて言っても図書室だ。図書室の規模が半端ない。エイラザーノ学園に入ってくる生徒で図書室を夢見て入ってきた生徒もいるぐらいだ。3年間エイラザーノ学園に通っていなかったが、変わったようなところは何もないように見えた。
「なぁ、レン。あそこにいるのって。」
「ん?あぁー、ラン?」
「なんか待ち構えてないか?」
「まぁ、そりゃーお前が学園に来るって知って、待ち構えない訳がねーだろーよ。」
「な?あいつも知ってたのか!?」
「おう。俺たちが2人でいる時にアカネ先生が教えてくれたからな。」
(まずい。今あいつにあったら絶対めんどくさくなる!)
どうにかして解決する方法を考えていたが、
「おーい。ラーン!」
バカ野郎!余計な事しやがって!
「ん、レン。何してたの?それに隣の人誰?」
頼む。ごまかしてくれ!レンに必死に目配りするが、
「何言ってんだよラン。ヒロトに決まってんだろ?」
頑張りは無駄だったようだ。ばれてしまっては仕方ない。
俺は全力で逃げ出したのである。
「はぁ、はぁ、よし、あとは教室に入るだけだ。」
ゆっくり、ゆっくり、ばれないようにドアから顔を出し、教室を見渡した。あの2人はいない。よし。
俺は教室に入った。あの2人とは違うクラスなのでここまでくれば安心だ、と思った俺がバカだったのか?
「見つけたぜ!」「見つけたわ!」
2人はゆっくり近づいてくる。なにこの気迫、殺される。
「さぁー、観念しろよー。」
諦めて、覚悟を決めたその時。放送がなった。
「2年4組 一ノ瀬ヒロトくん。2年3組 星野レンくん。同じく3組 一輪ランさん。至急図書室まで来てください。」
呼び出し。なんかしたっけ!?
「失礼しまーす。」
(なんだ、この人達。)
図書室にはぱっと見40〜50人ほどの人数があつまっていた。
「これで45人。全員揃ったな。では、始めよう。」
何言ってんだあの女の人。顔つき怖〜。
「あっ、ヒロトくん♩」
「あっ、アカネさん!」
「よかった。学園来てくれたんだね!」
「まぁ、はい。ところでこの人達は?」
「紹介しますね!この人達は私たちの仲間です!」
えっ、それって、
「ようこそ!魔法定軍エイラザーノ詠団へ!」
この日、地獄の日々をスタートさせたのだ。