第二話 始まり
なんだこれは。
バカにしてやがる。
どうやら俺は何者かに拉致され、洞窟に放り込まれたらしい。
「くそっ俺が何かしたってのか?」
怒りが込み上げてくるが、その感情はすぐに別の感情へと変わる。
寒い。
命の危機を感じると、途端に不安になってくる。
持ち物もこの環境を打破するような心強いものはない。
早くここから脱出しなければ。
暗闇と寒さが、焦りを増幅させる。
俺はスマホのライトで先を照らしながら、
頭をぶつけないように慎重に奥へと進む。
ああ寒い。
どうやら長い時間放置されていたようだ。
体はすっかり冷え切っており、今にも風邪をひきそうだ。
格好はTシャツ一枚とジーパンいう、サバイバルのサの字もないような格好。
そらそうだ。
ITベンチャーは、Tシャツとジーパンが礼装なのだ。
どうやら比較的外に近い場所にいたらしい、
1時間も歩くと、奥に光が差し込むのが見えた。
「よし」
光が見えると途端に元気になってくる。
スマホもあるし、
外にさえでればなんとかなる。
GPSも繋がるだろう。
その時の俺は、この先について少し楽観視をしていたかもしれない。
外を見て俺は愕然とした。
そこには見たこともない「世界」が広がっていた。
見たこともないドラゴンのような鳥が飛び回り、
見たこともない黒色長耳の人間がいて、
見たこともない宝石で出来た城が宙に浮いているのだ。
「なんだ。。これは。。」
俺は知ってるぞ。
これは異世界転生ものだ。