1F チュートリアル
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俺はいったい……?それになんだか冷たくて……硬い……。
そこまで思考してヒロトは飛び起きるように目を覚ました。
「おいおい、なんだよここ……。どうなってやがんだ?」
ヒロトは地面にうつ伏せに寝ていたようで、起き上がって辺りを見回してみるとそこは土が剥き出しになってはいるが部屋とも言えるような空間になっていた。
さらに部屋の中央にはヒロトの背丈ほどの蒼く輝く水晶のようなものが地面から生えていた。この水晶が光源となり部屋の中の様子がよく見える。
「俺以外に誰もいないし、扉もなければ窓もない……酸素とか大丈夫か?しかもなんだこのクリスタルは。ゲームとかなら絶対何かあるオブジェクトだが……」
オタク文化にどっぷりと浸かっているヒロトはゲームや漫画などの知識から目の前のクリスタルは今は下手に触ったりするものではないと結論づけた。
そう考察し部屋の中を探索していると突然どこからともなく声が響いてきた。
『ハイハ〜イ!みなさん全員やっと起きたみたいなのでこれから今どういう状況にあるのかを説明してあげようと思いま〜す!拍手拍手〜ぱちぱち〜』
「!? 今度はいったいなんなんだ。どこから声が?説明してくれるのは有難いがこいつは何者だ?」
ヒロトの困惑をよそに、口でぱちぱちと言っている存在は少年のような声で説明を再開した。
『まずボクの自己紹介からしよう。ボクは遊戯の神。遊びを司るカミさまなのさ!』
声だけでも胸を張ってドヤ顔しているのが想像できる。
『君たちはボクの主催するゲームのプレイヤーとしてこちらの世界に召喚させてもらった。そう、こちらの世界だ、つまり君たちが暮らしていた世界とは理が異なる別の世界、異世界というわけさ。剣と魔法のファンタジーな世界と言えばわかりやすいかな。そして君たちが今いるのはダンジョンのメインコアルームという場所。目の前のクリスタルはダンジョンコアという大事なものだから大切にしてね』
遊戯の神とやらの説明を聞いてヒロトは唖然とした。
(異世界……それにダンジョンだと……!?それじゃあまるで)
「……ネット小説みたいじゃないか!」
ヒロトは狂喜した。現実を「これなんて糞ゲー」と言い続け、ずっと本当にあったらいいなと願っていた異世界転移が実現したのだ。
夢かどうかを確認するために頬もつねったし、壁に頭を打ち付けてみたりもした。すごく痛かった。
『混乱するのはわかるけど自傷行為はしないで欲しいなぁ。まあいいや、なぜ君たちがそんなトコロにいるのかというと、君たち231人にはそれぞれ自分のダンジョンを作り、お互いに戦いあって欲しいのさ』
「やはりか。これだけ大人数をそれぞれのダンジョンに放り込んだんだ、ネット小説的にダンジョン対抗バトルものだよな」
ネット小説を読み漁って得た知識がヒロトに無駄な理解力を授けていた。
戦いなどとは無縁の生活を送って来たただの学生にはいきなり戦えなどと無茶な要求であったが、ヒロトはネット小説にあった話と同じような展開に気分が高揚するのを感じた。
『ゲームの勝者はただ一人、最後まで生き残ったヤツだ。勝者にはボクがどんな願いでも叶えてあげるよ。なんたってボクはカミさまだからね!願いを一つ叶えてあげるくらい朝飯前なのさ』
「ありきたりな賞品だな」
ヒロトは辛辣だった。
『このゲームのルールはボクが説明してあげてもいいけど長くなっちゃうからね、ボクの説明が終わってからダンジョンコアに触れると情報が得られるようにしておくよ。ダンジョン対抗バトルは30日後からスタートだ!30日の準備期間でダンジョンを作りだし、全力で戦いあってくれたまえ!』
『さあ、ゲームを始めよう!』