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11F 侵入者

一ヶ月ぶりで申し訳ありません。長らくお待たせしました。

2、3日に1回くらいのペースに戻して行きたいと思います。

 異世界へやって来て今日で27日目。

 ヒロトがダンジョンの外に探検に出た日から10日が経った。


 蟲たちを森に放ってからはDPの増え方が右肩上がりでヒロトはウハウハだった。

 急増したDPを使い、すでに判明している組み合わせで魔物を合成しダンジョンの戦力の増強を図っていた。


 現在の戦力はこのようになっている。


 魔幼蟲(まようちゅう)………いっぱい

 繭ノ蟲(エヴォルインセクト)………いっぱい

 闇討チノ百足蟲(アサシネイトセンチピード)………50匹

 痺レ鱗粉蛾蟲(スタン・スケイルモース)………20匹

 惑イ鱗粉蛾蟲(コンフュ・スケイルモース)………20匹

 破城一角甲蟲(バッタリングヘラクレス)………30匹

 首刈リ両断鎌蟲(ヴォーパルマンティス)………30匹

 猛突辻斬リ蜻蛉蟲(ラッシュガッシュドラゴンフライ)………20匹

 瘴怨群蟲(カーススワームバグ)………20匹

 縛視琥珀蟲(デモノリスバインダリー)………20匹


 これだけ魔物を合成してもまだまだ残っているDPを見てヒロトは、どれだけ魔物を狩ればこんなにDPを稼げるのかと思ったが多いに越したことがないと思い、すぐに頭から疑問を消し去った。


 これまで魔物を合成しては自分のスキルのレベル上げをして毎日を過ごしていたが今日は違った。


 それは日課である魔幼蟲に毒液を浴びせる作業をしていた時に起こった。

 突然目の前に画面が赤く染まったウィンドウが表示されたのだ。


「うおっ!なんだなんだ?!赤いウィンドウ?なんだこれ」


 なにがなんだかわからないヒロトはとりあえずウィンドウに触れてみると画面が切り替わり、ダンジョン内の様子が映し出された。


「これはダンジョンの入り口の映像だな……………げっ!人が入ってきてる!」


 ウィンドウに映し出されていたのは入り口からダンジョン内に武装した人間が3人、辺りをキョロキョロと伺いながら少しずつ中へ侵入してきているところだった。


「ついにダンジョンの入り口が発見されたか。発見されるまでもうちょっとあると思っていたんだがな。まあ今後のことを考えるのは後にしてまずはあいつらをどうにかしなきゃだな」


 侵入者を排除するため、ヒロトは行動を開始した。


















 時は少し遡る。


 モリヤの村にギルドで依頼を受けた冒険者たちが到着したのは、村長たちの予想通り、使いを出してから三日後のことだった。

 今回依頼を受けた冒険者のチームは5組で、翌日の早朝からそれぞれのチームで森へ入り、リブラ大森林の異変の調査をすることになっていた。


 そして翌日、まだ朝もやが漂う中、畑仕事に向かう村人たちに見送られ冒険者たちは村を発っていったのだった。







 森の中を見るからにガラの悪そうな3人の男たちが歩いている。


「アニキィ、なんでこんな依頼受けたんです?こんなド田舎じゃ良い女抱けないじゃないすか」


 軽装で男にしては小柄な男が、アニキと呼ばれた男に話し掛けた。


「バッカおめぇ、町で女買うにも金がいるだろ?そんで聞けば今リブラ大森林では外周部でも中域のオーガだとかが出るって話じゃねぇか。オーガの皮や角は良い値で売れるし、わざわざ中域まで行かなくても狩れる今が狩りどきなんだよ」


「さすがアニキ!効率的に稼ぐ方法を考えつくなんて最っ高〜に冴えてるっすね!」


「そうだろうそうだろう。ヨッと!」


 軽装の男のヨイショで気を良くしたアニキは飛び出してきたゴブリンの首を獲物のロングソードで斬り飛ばす。


「ケヒヒヒ、でも中域の魔物の大移動なんて中域でなにがあったんでしょうね」


 ゴブリンを倒したことを証明する右耳をアニキが軽装の男に剥ぎ取らさせていると、今度はローブを羽織り、いかにも魔法使いといった格好の男が不気味な笑い声をあげながらアニキに尋ねた。


「知ったこっちゃねぇよそんなこと。他のヤツらがどうにかしてくれんだろ。どうせバレねぇんだ、俺たちはオーガを狩りつつ適当にその辺をブラブラ歩いて時間潰していればいい。それだけで報酬が貰えるんだ、こんな良い依頼そうそうねぇよ」


「それもそうですねぇ。適当にやってさっさと終わらせちゃいましょうか、ケヒヒヒ」


「そうしろそうしろ。剥ぎ取ったならさっさと行くぞ」


「へーい」


 軽装の男が返事をし、一行はまた歩き出す。

 歩き出してすぐに軽装の男がまた喋り始めた。


「そういやアニキ、珍しく村の女に奉仕(・・)させなかったすね」


「ああ、いつもなら村娘に手ぇ出すんだが今回は他にも依頼受けたヤツらがいたからな。そいつらにギルドにチクられてみろ、冒険者の資格を剥奪されちまうよ」


 男たちは普段から恐喝、強姦などの常習犯で、依頼で寄った村で村娘に無理矢理行為をすることを当たり前にやってきていた。言いふらせば家族を殺すと脅され泣き寝入りした女性は多く、冒険者ギルドも疑ってはいたが決定的な証拠を掴めずにいた。この男たちは尻尾を出さないようにうまくやっていたのだった。


「今回ばかりは状況が悪い。いい女はいたんだがなぁ、あの娘がどんな声で()くのか楽しみだったのによぉ」


「しょうがないっすね。報酬貰ったらパーっと酒飲んで商売女買いましょうよ。俺っちいい女見つけたんっすよ〜」


「いいですねぇ。想像したら今もう勃ってきちゃいましたよ、ケヒヒヒ」


「おいおいお前ら、盛るのはいいが今は一応依頼中だぜ?楽しみは本番までとっておけよ」


 それからもゴブリンやオーク、オーガを狩りながら男たちは下品な会話を楽しみながら探索を続けた。



 そして運命の悪戯か、偶然にも男たちは地面にぽっかりと開いた穴の前にたどり着いた。


「……なあ、ここにほら穴なんてあったか」


「ギルドの情報にはなかったハズですぜ、アニキ」


「ということは最近できたダンジョンってわけか。俺たちは神サマに愛されてるみたいだぜ。生まれたばかりのダンジョンは中の魔物も弱いのしか出ないから攻略は簡単だ。そんでダンジョンコアを持ち帰ればそれだけで数年は遊んで暮らせる金になるんだ。他のヤツらに見つかる前に俺たちで攻略しちまおうぜ!」


「生まれたてのダンジョン、ケヒヒヒ。僕たちはホントに運がいい」


「アニキ!俺っち、アニキについて来てほんと良かったっす!ダンジョンコアの金で何しようかな〜」


 もう攻略した気になっている男たちはさっそくダンジョンの中へ入って行った。


「ダンジョンなんて俺っち初めて入ったっすよ」


「ケヒヒヒ、ダンジョンは世界から切り離された異界。内部は外の世界の常識が通用しないことがよくあるそうですよ」


「へぇー、なら理解したっすよ。なんか少し体が重いというか、息苦しいというか、ダンジョンが与えてくるプレッシャーってスゴイんすね。なんか黒いモヤもかかっててダンジョンすげーっす」


「…………ん?黒いモヤ?!止まれ!」


「どうしたんすかアニキ?」


 軽装の男の何気ない言葉でアニキは突然待ったをかけた。


「どうし……ああ、【瘴気】ですか。珍しいですね生まれたてのダンジョンに【瘴気】が出てるなんて、ケヒヒヒ」


 魔法使いの男はアニキが待ったをかけた理由にすぐに気が付き、ごそごそと腰のポーチから小瓶を3本取り出した。


「【瘴気】対策の聖水ですよ。飲めばある程度の【瘴気】に耐性が3時間ほど付きますよ、ケヒヒヒ」


「助かるぜ。よし、聖水飲んだらさっさと行くぞ」


「え、この黒いモヤって【瘴気】だったんすか!あ、ちょ、待ってくださいよアニキ〜!」


「一番に【瘴気】に気づいたのはお手柄ですよ、ケヒヒヒ。【瘴気】はほっとけばどんどん体を蝕みますからねぇ」


 男たちは聖水を飲んだら再び歩き始める。

【瘴気】はどのようにして発生するのか。なぜ生まれたばかりのダンジョンに【瘴気】が発生しているのか、欲に目が眩んだ男たちはそのことに一切考えがいたらず、ただ金持ちになる夢を見つめて歩くのだった。


 そして男たちはダンジョンの迷路のような通路を歩いて一つの部屋にたどり着いた。

 そこで男たちが目にしたのは部屋一面を赤黒い体をした芋虫がウゾウゾと蠢いている様子だった。

 流石の男たちもこの様子に鳥肌をたてながら、恐る恐る蟲の湖の縁に近づいた。


「うわぁ……なんだこれ、気持ち悪すぎるぜ」


「ゲェ、俺っち吐きそうっすよ」


「ケヒ、これはとんでもない数ですねぇ。こいつらをどうにかしないと先にすすめませんねぇ」


「お前の魔法でどうにかできないか?」


「一応できますよ。ただいかんせん数が多いですからねぇ、そこそこ時間かかりますかね、ケヒヒヒ」


「多少時間かかってもかまわねぇよ。はやくこの気持ち悪いムシケラをどうにかしてくれ」


「わかりましたよ、ケヒヒヒ。ーーーーーーーー『フレイムウェイブ』」


 魔法使いの男は詠唱を済ますと持っていた杖の先端から炎を噴き出させた。

 炎が魔幼蟲のプールの一角を包むと、炎の波に呑まれた魔幼蟲は一瞬にして消し炭となった。

 しかしすぐに生き残っている魔幼蟲が焼かれた魔幼蟲の穴を塞ぐようになだれ込み、プールは元の様に戻ってしまった。


「ん〜やっぱり数が多いですねぇ。ケヒヒヒ、これじゃあ湖の水をコップで全部汲み上げようとしてるようなものですねぇ」


「むむむ……これじゃラチがあかないな。よし、一旦引き返すぞ!ここまで来る途中でまだ行ってない道はあったからそっちへ行くぞ」


「へい、アニキ。道は俺っちが覚えてますぜ」


 そう言うと軽装の男は先導し、来た道を戻り始めた。軽装の男に続くようにアニキと呼ばれている男、魔法使いの男という順番で歩き始める。ダンジョンに眠るお宝を求めて。





 しかし男たちはまだ気づいていない。

 ダンジョンの天井で動く気配があることを。

 そしてその気配の主は感情をうかがうことのできない無機質な2対の複眼で3人の男たちを見つめていた。

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