4月26日(土) 三女・凛 「いやしの旅」
まさか、今朝、商店街で優結が引いた福引きで――
一等の温せん一ぱく旅行が当たるなんて。
それも、今日すぐに出発することになるなんて。
人生はわからないものね。
温せん旅館へ着いたら、まずは――
温せん♪
お昼から、家族でかし切のろてんぶろなんて最高だわ♪
さあ、あんたも早く行って。
優結なんて、お部屋を出る前から、はだかになりそうないきおいよ。
私も、すぐに追いかけるから!
……行ったわね。
では、作戦会議よ、理沙姉さん。
理沙姉さんは、この機に、あいつをたっぷり、いやしてあげたい。
私は――
もう少しだけ……甘えられるように、なりたい……。
ふたりの目的は、あるていど近いというわけね。
でも、やっぱり、理沙姉さんって――
大人で、すてきだわ♪
いやしてあげたい――
だなんて。
本当に、あいつのこと――
パパのことを想っているのね。
それなのに、私ときたら。
自分のことばかりよ。
……それでも、甘えたらきっと喜んでくれる??
うん……そうかも。
じゃあ、どうしましょうか。
ごにょごにょ。
……。
…………。
……………………。
うん、やっぱりシンプルなのが一番というわけね!
では、行きましょう♪
――ね、ねえ、あんた。
理沙姉さんと私、ふたりで体をあらって――
って、もうあらい終わってる!
そりゃそうか。
みんなが放っておくわけないものね。
――こんなこともあろうかと!
理沙姉さんは、しっかり用意しているのよ。
じゃん。
いいかおりのする石けん!
おふろを上がっても、リラックスできるかおりが残って、いやしこうかばつぐんなんだから♪
福引きの景品のひとつよ。
これで、理沙姉さんがあんたのせなかを流しながら――
マッサージをしてくれるわ♪
これなら、二回あらう意味がありそうでしょ。
そして、私は――
前から。
理沙姉さんとはさみうちよ♡
……あんたの体って、いつも――
あらいがいがあるわね。
大きいし、がっしりしているようで、やわらかい感じもして――
ついつい、あらいすぎてしまいそう♪
この石けん――
私にも使ってみる?
よ、よかったら――
たまには、あらってほしいな――
あんたに。
……たまにってほどもなく、けっこうあらわされてる??
あ、そういえば――
優結や愛と入っていると、みんなでわやくちゃになって――
いつの間にかあらいっこしていることも多いわね……。
でも、今日は温せんよ!
特別なんだから♪
んっ――
あんたって、本当に――
あらうのも、あらわれるのも、上手なのね――。
どういう意味かって?
……私もわからないわ。
つい、言っちゃっただけ。
とにかく、夜も、明日の朝も――
温せんに入るときは、毎回、あらってもらっても、いいかも。
って、思ったのよ。
もう、頭ぽんぽんしないで!
かみに、あわがついちゃったじゃない。
こうなったら、かみもあらってもらうんだからね!
ほら、理沙姉さんもよ。
この旅行のテーマはいやし。
あんたには、家族みんなを、たっぷりいやしてもらうわ♪
そして――
あんたも、いやされてくれたら、うれしい――
かも。




