6月21日(日) 【7】 凛 「健康祈願」
凛よ。
今日は『父の日』だとかで、みんな騒いでいるようだけれど――
私は遠慮しておくわ。
ウチの姉妹は、私以外はみんなあんたにべったりで、相手も大変でしょう?
1人くらいいなくたって、むしろちょうどいいくらいじゃない?
私のことは、忘れてくれていいから、ゆっくり楽しんできて。
――ただ、私も足並みを乱すつもりはないから、言うことは言っておくわ。
私だって、あんたへの感謝の気持ちは、持っているわよ。
あんたが仕事をして、お金を稼いできてくれないと、みんな生きていけないんだし。
だからこそ、あんたにはもっと、自分のことを優先してほしいって、腹が立つときもあるけれどね。
それから。
あんたにはいつも、きつい言い方ばかりしてしまうけれど――
別に、本当に大嫌いって、わけじゃないのよ。
家族だし、父親だし、私も、あんたのことは、その、一応――
好きよ。
でも勘違いしないでね!
家族として最低限の情はあるってだけで、他のみんなが言っているような気持ちじゃないんだから!
あんたの娘に生まれたこと――
実は、私にとっては悩みの種なのよ。
事情ははっきり言えないけれど、これは私の問題で、あんたが悪いわけじゃないわ。
でも、あんたの娘だから、分かったこと、考えられたこと、感じられたこともあるって、最近は思えるようになったの。
いつか私がもう少し強くなったら、言えることも、できることも増えるかもしれないから――
それまでは、気にしないでいてほしいわ。
最後に。
あんたにお守りを渡しておくわ。
一応、『父の日』のプレゼントになるのかしら。
部屋で宿題をしているとき、片手間でさっと作ったの。
見れば分かると思うけれど、前にあんたからもらった、縁結びのお守りをモデルにしているわ。
ただ、今さらあんたに縁結びなんていらないでしょうから、「健康祈願」に変えているのよ。
ご利益はないでしょうけれど――
それを見るたび、自分の体のことを考えたらいいと思うわ♡




