12月25日(水) 長女・理沙 「願いが集う祝いの木」
サンタさんへのおねがい、どうしようかしら。
本やさんに、かざられていた、せかい文学ぜんしゅう?
お母さんのに、よくにたデザインのエプロン?
生まれたての優結ちゃんがよろこぶ音色のオルゴールがいいかしら?
せっかくだから、心から一番ほしいものを――
なんて、おねがいできないわね。
私が本当にほしいものは、サンタさんでもプレゼントできない――。
それくらい、知っているもの。
もう小学生なんだから。
でも、何かおねがいしなきゃ。
サンタさんが、こまってしまうわ。
クリスマスツリーさんだって、きれいにきかざって、私をまってる――。
そうだ、この前読んだ、ご本のまねをしてみましょう♪
生まれた土地から遠くはなれて、さまよっていた一本の木。
歩きつかれて、町角でじっとしていたら――
道行く人から、クリスマスツリーとまちがわれて、たくさんおかざりをかけてもらって。
いつか本当の、町一番のクリスマスツリーになっていたってお話。
お家の中でぴかぴかしているツリーさんのおとなりに、目をとじて立てば――
私も、クリスマスのゆめを見られるかも♪
……さっそく、だれかがやってきました。
落ち着いた、優しそうな気はい――
これは、お母さ……!
……いえ、今の私はツリーよ。
大声を出したり、だきついたりしてはいけないわ。
それに、この人、もしかして――
お母さんじゃない??
せたけは、にているけれど、はじめて会う人だわ。
でも、とってもしあわせそう――♡
私の首に、何かかけてくれました……!
うすーく、目を開けて見てみましょう。
ツリーだって、自分のかざりの、かくにんくらいは、できるはず!
これは……私が、ようち園のころに作った、紙と赤いひものペンダント。
お父さんとおそろいで――
これをかけてるふたりは、結ばれるやくそくって言って、プレゼントしたんだわ。
ひもにメモがくっついて………「ききめはばつぐん」って書いてます。
ひらがなで書いてくれているけれど、とってもきれいな字――。
さっきの人が書いたのかしら?
もう少し、ツリーのふりをつづけましょう。
つぎにやってきたのは……私より少し年上のお姉さんみたい。
この人のふんいきも、ちょっぴりお母さんにてるかも♪
……私の手に、メモをおいたわ!
「目をあけてみて」だって。
まあ、これはすごいパーティー……の後?
みんな、しあわせそうにねむってる……♪
あの女の子は、もしかして、優結ちゃんかしら!
あんなに大きくなって――♡
赤ちゃんだったのに、もう、ようち園くらいね♪
あっちのお姉さんは、翔子ちゃん?
とっても美人で元気そう――♡
そして、みんなのまん中でうとうとしているのは――
お父さん……!
少しみらいのお家でも、今とかわらず――
しあわせなクリスマスをすごしているのね。
ツリーになった私にプレゼントをくれた、ふたりのすてきなお姉さん――
ありがとう♪
私が一番ほしいものは、いつか手に入りそうな気がしてきました。
だから、サンタさんには――
みんなで楽しめるプレゼントをおねがいしよっと♪
今この場所にいるのは、お姉さんのほうがいいし――
私は自分のクリスマスツリーのおとなりへもどるから。
こうたいしてくださ~い!
――お父さん、おはようございます♪
……もう夜で、クリスマスの片付けも終わりかけって?
はい、そうですね♪
少しうとうとして、今朝見た夢を思い出していたんです。
不安をかかえた女の子をはげます夢でした♪




