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8月17日(土) 四女・美貴 「今は夏の思い出」

 ダーリン、お待たせ~っ!

 ゆかたをさがすのに、時間かかっちゃった。

 でも、おかけで、ステキなゆかたが見つかったわ♪


 ママが美貴くらいのころに着ていた、藤柄のゆかた。

 織江おばあちゃんに手つだってもらったから、着つけもばっちりよ☆

 ゆかたのすそはミニにするほうが好きなんだケド、今夜はママみたいに、おしとかやに着こなすわ♡


 みんなは、もうお祭りに行ったよね?

 でも、花火までの時間は……まだまだ大じょうぶ!

 ゆっくり屋台を見ながら、向かいましょ♪


 今年の夏休みのうち、ダーリンの実家ですごす最後の夜だもの。

 ふたりだけの思い出も、もっと作りたいな――♡


 ダーリン、少し見とれてる?

 あ、もしかして――

 このゆかたを着たママと夏祭りに行ったときのコト、思い出したのかしら。

 後でお話聞かせてね♪




 りんごあめ、おいし~い♪

 くちびるが真っ赤になってる?

 スマホのかがみで見せて~♪


 ホントだ!

 口べにみたいで、ちょっといいカモ♪

 おいしくってオシャレもできるなんてステキね☆


 でも、このリップは――

 美貴はまだ赤すぎるかな――♡




 ダーリンとママって、実家がすぐ近くなのよね。

 昔、ふたりで夏祭りに来たことあるの?


 ……たまたま同じ日に来たことはあっても、ふたりで回ったことはない?

 初めていっしょに回ったのは、理沙姉さんたちが生まれてから??


 そうなんだ。

 幼なじみだケド、なかよくなるのに時間がかかったって言ってたもんね。

 ダーリンとママのコドモのころの思い出は、あんまりないんだ――。




 じゃあ、美貴と思い出つくろ!

 ……もう、思い出はいっぱいある?

 もっとよ!


 オトナになって、ママと結ばれるまで、ずっとずっと、カノジョのいなかったダーリン。

 もし、あのころにカノジョがいたら、したかったコト――

 ぜーんぶ、美貴にしていいよ♡

 これまでの分、取りもどしましょ!


 ほら、今夜の美貴はママのゆかただから、気分が出るでしょ♪

 もっと、おしとやかなほうがいいかしら?

 それとも……ママにはかなわないのかしら。




 ……いつもどおりの美貴でいい?

 いつもの美貴が、かわいくて好きだから?


 ありがと。

 そうやって、まっすぐに美貴をほめて、好きって言ってくれるダーリンのコト、好きよ♡


 ケド、わかってないわね!

 美貴が可愛いコトも、ダーリンが美貴を好きなコトも、知ってるケド――

 もっともっと、ダーリンの好みになりたいのよ!

 今の好きより、もっとビックリするような好きってキモチを、プレゼントしたいの。


 でも、ダーリンが、いつも美貴がいいって言うなら――

 そうしてあげる♡




 ね、ちょっと耳かして――。

 かりっ♡


 ダーリンの耳、おいしい♡

 優結のキモチ、わかっちゃうカモ♪

 八重歯でかんだから、アトついちゃったね♡


 やっぱり、こっちの美貴のほうがいい?

 ママはこんなコトしないもんね♪


 ……ううん、きっとしてるわね。

 美貴たちが生まれる前から、ダーリンとフウフなんだもん。

 ありとあらゆるイチャイチャを、やりつくしてるはずだわ!


 でも、あの夏のママは――

 してくれなかったでしょ♡


 だから、この耳についた歯のあとは、美貴だけのモノ――♡


 やんっ、はしゃいだら、ゆかたはだけちゃった!

 ダーリン、あっちの木かげで直して……♡




 次はシャテキね!

 美貴にまかせて!!

 ねらいうちはトクイよ☆

 いつもやってるもの♪


 え~ん、当たるのに、たおれない……。


 こうなったら本気よ!

 当てるだけじゃダメなんて、前から知ってるコトだわ。

 もっとよく、ねらいを定めなきゃ。


 台に乗り出して、おしりを思いっきりつき出すから――

 ダーリン、美貴のこしをささえてて!


 ほら、屋台のお姉さんも、それくらいの、きょう力プレイはしていいって言ってるわ!

 ……美貴のせがひくいから。


 弱点を考えて、よーくねらって――

 えいっ!

 やったー!!




 ほら、このプラモデル――

 ダーリンが好きなアニメのでしょ?


 この()体は、翔子姉さんが一番好きなもの??

 そういえばそうだったわ!


 だったら、翔子姉さんへのプレゼントのほうがいいカモね。

 ふふっ♪


 あ、また、ゆかたがはだけちゃった。

 ママのって、少しサイズが大きいのかしら。

 もう一回、木かげに行きましょ……♡




 次は――

 そろそろ時間ね。

 みんなのところへ向かう?


 美貴はまだまだ元気だけど――

 って、だっこ~!?


 美貴はもう三年生、コドモじゃないのよ!

 それに、今はデート。

 娘じゃなくてコイビトなんだから!

 こんな風に、だっこしてるカップルなんていないでしょ……!




 ……あの夏のママは、だっこできなかった、って……?

 そっか、ダーリンもコドモだったものね。

 だっこできるのは、ダーリンがパパで、美貴がコドモだからよね――。


 んもう、今それを言うのはずるいわ!

 でも……だっこさせてあげる♡

 その代わり、娘でコイビトの美貴をだっこした夏祭りのコト、ずっとおぼえていてよね――。


 あんっ……だっこしながら足をなでるなんて♡

 ダーリンもその気になってきたわね♡

 

 ……もしかして、だっこしてくれたのって――

 なれないゲタで、ちょっぴり足がいたくなっていたのに、気づいたからかしら。

 ホント、ダーリンってずるい――♡




 わっ、今度はかたぐるま!? 

 カンゼンにコドモあつかいじゃない!


 せっかく、ダーリンのむねの音を聞いていたのに――

 あ、ママたち、みっけ!


 翔子姉さんが手をふってるわ♪

 行きましょ、ダーリン♪


 ここからは、あの夏の思い出じゃなくて――

 大人になった……ダーリンとケッコンした、ママとの思い出の時間よ♡


 それと――

 家族みんなの思い出の時間♡

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