6月16日(日) 【4】 五女・巴 「青の一点」
雲一つない……晴天の下。
ぷかんと浮かぶ……一そうのビニールボート。
辺り一面は……透きとおる青い海。
砂浜だって、あんなに遠い――。
ここは、パパと私……ふたりだけの世界ね……。
私の出で立ちといえば……眼鏡の代わりの……度入りゴーグルに……スクール水着。
リゾートにぴったりでしょう……♪
このまま、海面を漂う……クラゲのように……ふたりでどこまでも……行きましょう……♪
ランチの後で……眠くなってきたことだし。
パパも、少しゆっくり……したいのでは?
今日はおやすみの日と言いつつ……朝からずっと、あちらこちらで……ベッドを揺らしていたものね……♡
……もちろん、気付いていたわよ。
パパの居場所は……常に把握しているし――
じゃなくて、あれだけ派手に……暴れていれば……すぐにわかるわ。
特に、ハンモックでは――
翔子姉さんといっしょに……本当に島中を……揺らすくらい……はしゃいでいたでしょう……♪
でも、この海の上では――
誰にも見られないわ。
眠るもよし。
大波を起こすもよし。
巴ちゃんのほっぺでももんで……癒されるもよし。
ふわあ……。
でも、私は……お昼寝したいかも。
ほっぺとかを使いたければ……お好きにどうぞ……♡
いや、ただ寝るだけでは……もったいないな。
パパがベッドになって♡
うん、いい寝心地……♡
……………………♡
…………♪
……むにゃ。
パパ、どうしたの?
ボートがどんどん……ホテルから離れている?
大丈夫よ。
実は、モーターと……自動操縦AIが……取り付けてあって……すぐにビーチへ……帰れるわ。
ほら――
ただいま♪




