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5月12日(日) 六女・華弥 「うまれたときから、うでのなか♡」

 きょうは、お母さまのひ♪

 お母さまに、たくさんあまえて――

 たくさんあまえてもらうひよ♡


 お母さまは、やさしくて、やわらかくて、いいにおいがして――

 だいすき♡


 華弥が、いちばんあこがれるひと。

 なりたいひと。

 そして、うらやましいひと――。


 だって、華弥より、だれより、理沙ねえさまより、はやく――

 お父さまとであって、けっこんしたんですもの!!




 お父さまがはじめてすきになったひとに、なれるなんて――

 それって、どんなにしあわせなことかしら。


 うんめいのひとと――お父さまと、であったときなんて――

 どんなにしあわせだったのかしら。


 華弥のうんめいのひとは、お父さまだから。

 もう、華弥のじんせいで、これからうんめいのひとにであうことなんて、ないわ――。


 しょうがっこうにいっても、ちゅうがっこうにいっても、おしごとにいっても――

 とおいくにへいっても、てんまでとどくおやまへいっても、おそらのおしろへいっても、うみのそこのまちへいっても、ゆきでできた()()へいっても、さばくのはなぞのへいっても、かなたのおほしさまへいっても――

 どこにも、華弥のうんめいのひとは、まっていないの。




 もし、華弥がお母さまだったら。

 たびをして、ぼうけんをして、おおくのであいをくりかえして――

 やっと、お父さまにであえたかもしれないのに。


 そのお父さまは、はじめてであった華弥だけを、もとめてくれるかもしれないのに。


 ちょっと、やってみましょう!

 おおうなばらをふねでたびする華弥を、じぶんのふねへつれていってしまう、かいぞくのお父さま♡

 おしろでくらす華弥のおへやへしのびこんで、さらっていってしまう、かいとうのお父さま♡

 もりのおくのどうくつへたどりついた華弥をとじこめてしまう、ドラゴンのお父さま♡


 華弥は、にげだそうとするけれど、お父さまにつかまっているうちに、きづくの。

 このひとが、うんめいのひとだって――♡


 でも、お父さまが華弥だけをつかまえるなんて、へんね。

 きっと、華弥がつれていかれたばしょには――

 ねえさまたちも、愛も、優結も――

 お母さまもいるんだわ。


 どこへいっても、みんないっしょ♪




 ほかには、どんなであいがあるかしら。

 やまおくのむらで。

 いしだたたみのまちで。

 はぐるまのほしで。


 いつでも、にげる華弥を、お父さまはどこまでもおいかけて――

 たくましいうでで、だきかかえて――

 かならず、つかまえてしまうの♡


 そして、たくさんのであいのなかで、華弥がいちばんすきなのは。

 華弥がうまれたとき――

 だきしめてくれた、お父さまです♡


 うまれたときから、華弥はお父さまのうでのなか。

 はじめから、つかまっていて――

 もう、にげられないんです♡♡




 やっぱり、華弥は――

 お母さまには、なれないなあ。

 お父さまのむすめでいるほうが、いいんですもの♡


 それとも、いつか華弥が――

 “お母さま”になったら。


 やっぱり、むすめたちから――

 うらやましいって、おもわれるのかしら。

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