2月14日(水) 【6】 情報部の巴 「私へたどり着く矢印」
これはこれは。
誰かと思えば……先輩とそのお友だち。
このような……学園の深奥まで……よくぞお越しくださいました。
ようこそ、情報部へ……♪
この場所の……情報をつかむとは。
美貴さんのファンクラブの……情報網、侮りがたし。
……いえ、茶番はやめましょうか。
そうよ……先輩たちがここに……たどり着くように――
私が意図的に……情報を流したの。
というか、そもそも――
隠しているわけではないし。
そして、先輩たちを……招待した目的は――
勧誘よ!
私はこのまま……卒業まで――
陰からこの学園の情報を……掌握し、謎の存在として……君臨するつもり……だったのだけれど。
顧問の先生から……部員一名での……これ以上の存続は……難しいと言われてしまったの。
それで、入学以前から……その動向を注視していた……先輩たちを……誘ったというわけ。
ちょうど……拠点と情報がほしい……という話をしていたようだし。
この部の目的は……その名のとおり――
情報の収集と分析よ。
これまでは私ひとりで……情報を集めて……楽しむだけだったけれど。
先輩たちなら……もっと有効に……活用できるかも。
たとえば、情報をもとに……学園のトラブルを……解決するとかね。
ちなみに、この部の顧問は……沙織先生――
いえ……ママ先生よ。
なぜママ先生と……呼ぶかって?
それは、もちろん――
何だかママみたいだし。
ママと呼んだら……先生も喜ぶからよ♪
これは、情報部の……掟その一。
何だか皆さん……話が頭に……入っていないようね?
……どうして小さな子どもが……学園にいるかって?
いい質問ね。
私は、こう見えて――
普通に一年生。
美貴さんと……同学年よ。
-
情報部の活動も……ずいぶん充実してきたわね。
秘密裡に進められし……部室の改装も順調で――
いつものメンバーの……放課後のたまり場として……居心地がよくなったわ。
みんなで集まって、駄弁ったり……お菓子を食べたり、ゲームをしたり。
そんな日々が……いつまでも続くといいわね……。
先輩もこうして――
私をだっこして出かけるのにも……慣れてきたのではないかしら。
自分で歩く気はないのかって?
私も、ひとりのときは……普通に歩いているわよ。
でも、せっかく先輩がいるのに――
だっこやおんぶをされずにいる……という選択肢はないでしょう?
楽ちんだし、心地いいし――
よいことづくめなのよ♡
難点は――
兄と小さな妹か……あるいは父娘に……見られてしまうことくらいね。
……それもまた一興♪
そういえば……新しい情報が入っているわ。
最近……何者かが先輩を……つけている気配があるけれど。
どうも……一年生の華弥さんの……手の者のようなの。
あの名家のお嬢様……と言われる華弥さんよ。
何とか部に……引き入れたいところね……。
-
やあ先輩。
あるいはパパ。
バレンタインデーの……予定はいかが?
いつものように……部室へ集合――
と言いたいところだけれど。
みんな、そんな様子では……なさそうね。
かくいう私も。
少々、平静さを……欠いているかもしれないわ。
でも、安心して。
その日は先輩のために――
一日、予定を開けている。
いや、それは――
その日だけではないか。
だから、ぜひ――
私に会いに来て。
居場所は――
パパの視界に表示される……メインクエスト用の……矢印マーカーを……たどった先よ。