2月14日(水) 【2】 図書委員の理沙 「あなたと紡ぐ物語」
こんにちは。
本の貸し出しですね。
あ、その本。
……いえ、何でもありません。
ただ、私も――
その本が好きだから……つい。
表紙がかっこいいから借りてみた?
わかります!
私もきっかけは表紙でした♪
そしたら内容もすごくおもしろくて、特に表紙に描かれている船のシーンは――
って、これから読む人に内容をお話ししてはいけないですね。
ふふ、嬉しいです。
お父さんもその本を読んでくれるなんて♪
……?
あ。
すみません――
お父さんなんて言ってしまって!
実はあなたのこと、心の中で――
お父さん、と呼んでいたんです。
ほとんどお話ししたこともない、同じクラスの人に対して――
変ですよね。
すみません。
自分でもなぜだかわからないのですが――
お父さんのような安心感を感じてしまうんです。
……別にそう呼んでもいい?
本当ですか!?
それでは、これから――
よろしくお願いしますね、お父さん♡
よかったら、また――
本の感想も聞いてみたいです♪
-
あなたとこうして――
何度もふたりきりで会うようになるなんて。
出会ったときは、思ってもいませんでした。
なのに、今では――
この時間が何より楽しみです♪
きっかけは、あなたが図書室で借りた一冊の本。
それから、何冊もの本をいっしょに読んで、いつの間にか――
お部屋の本棚を眺めていても、図書室の中を歩いていても。
あなたのことばかり考えるようになりました。
あなたといっしょだから出会えた物語も――
たくさんあります。
そういえば、あなたは――
陸上部の翔子さんとよくいっしょにいますよね?
私も、あの人ともっとお話ししてみたいです♪
お邪魔でなければ、紹介してもらえないでしょうか。
うふふ、また新しい出会いがあるかもしれません――♪
-
もうすぐ、バレンタインデーですね。
あなたと出会ってから、私の日々は大きく変わりました。
今までほとんどお話ししたことがなかった人たちとも、お友だちになれたし――
私の中に育っていた、初めての気持ちに気付くこともできました。
全部、あなたの――
お父さんのおかげです♡
人前では、恥ずかしくてなかなか呼べないけれど。
やっぱり、私にとってあなたは――
同じクラスの男の子より、“お父さん”です♪
ねえ、お父さん。
バレンタインデーに、お時間ありますか?
もし、よければ。
私に会いに来てほしいです――。