6月18日(日) 【4】 三女・凛 「ココロかくれんぼ」
ごめんなさい……私の水着さがしに付き合わせちゃって。
せっかくの『父の日』なのに。
……ぼうけんみたいで楽しい?
もう、何を言っているのよ。
ふたりきりでボートに乗っているだけじゃない。
私は水着が流されちゃったから、ずっとかくしていなきゃいけないし。
でも、いい景色――。
海も透き通っていて、きれいなサンゴがよく見えるわ。
周りが全部海だと、少しくらい自由になってもいい気がするかも。
いつもは自由じゃないのかって?
それはそうよ。
お気楽なあんたとちがって、考えることがたくさんあるんだから。
……親としては自由になってほしい?
いいわ、だったら――
もう、かくすのやめようかしら?
ここにはあんたと私しかいないんだから、いいわよね――♪
あ、あんた……今の「ごくり」って何!?
娘相手に何をいしきしているの?
さっき優結がはだかになっていたときは、平気だったじゃない。
目をそらしすぎ……何よ、自由になれって言ったくせに♪
あのセーラー水着はお気に入りだったけれど――
翔子姉さんの言うとおり、このままでもいいのかもね。
あんたがおもしろすぎるもの♪
もっとそっちに行ってもいい?
わっ、ゆれた……大きめの波ね。
……落ちないように、だきしめてくれたの?
あったかい。
華弥の言うとおり、はだを重ねるのは気持ちがいいものね――。




