表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
843/942

12月17日(土) 三女・凛 「スペシャル・デイ」

 今日は何の日か覚えてる?

 もちろん、デート……?

 ええ、そうとも言うわね。


 もう決まっていることだから、早く行くわよ!


 何よ、言いたいことがあるなら言いなさいよ。

 おしゃれがにあってる?


 な、何言っているの!?

 おしゃれなんてしていないわ、いつもどおりよ♪




 あんたこそ、気合いが入っているんじゃない?

 先週の華弥とのデートと同じ服で♪


 よく覚えている?

 当たり前じゃない♪

 あんたが、華弥に失礼な服を着て行かないか、しっかり見ていたもの。


 何申しわけなさそうにしているの?

 同じ服だから?


 そんなこと――

 それは、あんたが私を、華弥と同じように思ってくれているってことでしょ。


 私は、あんたの服が何だって気にしないわ。

 ジャージでもいいくらいよ♪

 父娘ってそういうものでしょう。


 いっそ半そで短パンなんてどうかしら♪

 それは寒い?

 そうね、翔子姉さんじゃあるまいし♪




 それで、どこに行く?

 行きたいところはあるかしら?


 もし、特になかったら、街を歩いてみましょう。

 たぶん、あんたがまだ見ていないイルミネーションもあるのよ。


 それから――

 手。

 つなぎましょう。

 でも、道はばがせまいところでは無理につながず、たて一列になって歩くこと!


 ふんっ、あんたの先をこしてやったわ♪

 私と手をつなぐかどうか、まよっていたでしょう?


 そうやって気を使うあんたのために――

 私から言い出すって決めていたのよ。


 まよわず手をつなぐつもりだった?

 ふぅん……強気なのね!




 ――こんなおしゃれなカフェ、入っていいの?

 親子で来ているお客さんなんて、いないみたいだけれど。


 気にすることじゃない?

 そうかもしれないけれど――

 まるで、デートみたいじゃない!


 最初からそのつもり?

 それは私だって……そうだけれど。




 あんたって、娘相手でもちゃんとデートできるのね。

 理沙姉さんや華弥が、先週あんなに喜んでいたワケがよくわかったわ。


 もし、いつか彼氏ができたら――

 こんな感じなのかなって、思えるもの。


 ……いちおう、あんたがそうだったわね。

 父親なのに彼氏なんて、ヘンな感じ。

 私が望んだことだけれど。


 あんたがどこまで本気で受け取っているかわからないけれど――

 少しは信じてもいいのかもしれないわね……。




 ずいぶん暗くなってしまったわ。

 冬ってやっぱり早いわね。

 でも、イルミネーションにはちょうどいいの♪


 ほら、こっち。

 小さなスペースで、人もあまりいないけれど。

 きれいでしょう♪


 この、つつましくも、あざやかな、赤く光るハートのオブジェ。

 ネットで地図を調べて見つけたのよ。




 ねぇ、少しだけ――

 ほっぺをかしてくれない?


 もう、かがんで、って意味!

 ……もう少し。


 そう、そのまま動かないで――

 ちゅ。


 ……ふぅ、できた。

 今日は、付き合ってくれてありがとう。

 あんたがよければ、また来ましょう。


 え、お返し!?

 ……わ。

 ありがと。


 あ、目をつぶるのわすれた。

 あんたの顔、まともに見ちゃったじゃない……!

 ゼッタイ、ユメに出るわ……。




 お家へ帰る前に。

 せっかくだから、みんなをよびましょう。

 私たちを見守ってくれているはずだから。


 お~い、出てきて~!

 ハートの前で、記念さつえいをするわよ――♡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ