11月28日(月) 四女・美貴 「『永遠のキスは一度きり』」
ダーリン、今日もレッスンにつきあって~♡
美貴、アイドルやりた~いって思ってるケド、実は――
声優さんにもキョーミがあるの。
だから、エンギの相手になってほしいな♪
これが、理沙姉さんと作った台本!
シンプルなセリフでも、気持ちのこめ方でどれだけ心にひびくか、かわるのよ。
ちょっとお姉さんの役にちょうせ~ん☆
――ここは中学校。
美貴は一年生で、ダーリンは三年生。
夕陽がさしこむ教室に、今はふたりきり――。
『――センパイのこと、一目見たときから、ずっと好きでした――!
運命の人だって……私にはこの人しかいないって、わかったの。
センパイにとって、私は――
ただのコウハイで……妹みたいなものだって、知っています。
それでも、何もしないで、あきらめるなんて、できなくて――!』
……ダーリン、どうしてジリジリ後ろにさがっていくの?
センパイなんてよばれてるから、美貴が他の人にときめいてるって思っちゃたのかしら?
安心して♪
これは、おしばいだし――
ダーリンと美貴が中学生になった、ちがう世界に行っていると思えばいいのよ♪
……気になるのはそこじゃない?
いつもの美貴とぜんぜんちがうから、びっくりしちゃった?
ふふっ、うれしいケド――
これは真面目な練習よ!
もっと役になりきって、集中しましょ♪
『センパイ、私が本当に妹かどうか……恋愛対しょうになれないかどうか。
ためすチャンスをください!
センパイがそつ業する前に、一度でいいから――
私とキスをして――。
もし、センパイが……やっぱり私に、恋、できなくても。
私は、そのキスを……一生の思い出にします――』
あ、ダーリンにげた。
キスするまでが台本なのに~!
……声だけだから、しなくてもいいんじゃないかって?
えへっ、それはそうねっ♪
それにキスは――
エンギじゃなくて、本番でしたいもん――♡
ダーリンったら、お顔が真っ赤で――
ホントにドキドキしてるみたい……♡
美貴よりエンギが上手だね♪
センパイも、妹みたいな子に告白されたら、こんなにイシキしちゃうんだ――。
台本、もっとおもしろくできそう♪
これだけすごいエンギができるなら――
ダーリンも、すぐに声優さんや役者さんになれるんじゃない?
それとも、これは――
美貴が相手のときだけかしら――♡




