6月19日(日) 【3】 三女・凛 「ずっと。」
どうしたの、パパ。
うとうとし始めたと思ったら――
って、何よ、怪訝な顔して。
別にいいでしょ。
ふたりきりのときくらい、パパって呼んでも。
いつでも呼んでいい?
そういうことじゃなくって!
あ、この感じ。
わかったわ。
さっきまでと全然違和感はないけれど――
私にはわかるの。
来たのね?
ようこそ、未来の世界へ♪
私は18歳の凛。
パパの――
あなたの、四人目の妻よ♡
ふーん……理沙姉さんに抱きしめてもらった後――
翔子姉さんと変わった体操をしてきたのね。
まあ、朝からずいぶんお楽しみだこと!
……別に、怒っていないわよ?
だって、そんなの毎日なんだもの♪
結婚しているんだし――
当たり前のことだわ。
それに、私だって――
パパにはたくさん遊んでもらっているんだもん。
覚えていないでしょうけれど。
昨夜だって――
ふふっ、それは、そのときが来てからのお楽しみね♪
未来に期待しているといいわ。
パパも、大興奮の夜だったんだから――♡
理沙姉さんと翔子姉さんにならって――
私も、パパに何かしてあげたいところだけれど。
ここはデート中に立ち寄ったカフェ。
あまり大胆なことはできないわ。
だから、手を貸して。
ぎゅう――。
握りながら……私の言いたいことを言わせて。
今のパパが知っている私は――
素直じゃないっていうか、ちょっと色々反抗的で――
パパに迷惑をかけたり、傷付けたりしているかもしれないけれど。
それは、本当の気持ちじゃなくて――
本当の私の気持ちは、こうして、パパと結婚している、っていうこと……なのよ。
パパのことは――
どこを取っても、好きなところしかないって――
生まれたときから今まで、ずっと思っている。
こんなに好きな人が、いつでもすぐそばにいるなんて――
パパが思うより、ずっと大変なんだから。
そんな自分の気持ちが怖かった頃もあったけれど。
私の想いも、不安も、衝動も、欲望も。
パパが全部受け止めて、愛してくれて。
結婚までしてくれた今は。
もう何も恐れずに――
ただ、あなたを愛することができるわ♡
……今の私はこんな感じなのかって?
どうかしら♪
そのうち元の時間に戻るパパの前だから、好きに言っているだけで――
いつもの私は、昔よりもっと悪い子かも♪
……今まで、私を悪い子を思ったことはない?
本当に優しくて家族思いのいい子だなぁ、といつも思っていた??
何よ、それ……私がパパへ取っていた態度の意味、全然伝わっていなかったってこと?
……それとも、気持ちがちゃんと伝わっていた、ってことかしら。
本当、ずるい人。
デートの途中でこんなことになってごめん?
いいのよ、本当を言うと――
こうなることを狙ってデートに誘ったの。
父の日は、こんな奇跡がよく起きるもの。
さっきの話、あの頃のパパに――
ずっと言いたかったから。
父の日にふたりきりのデートだなんて、贅沢すぎるかなと思ったけれど。
結婚して初めての父の日だからって、みんなで送り出してくれたわ。
そんなわけだから、あまり遅くならないうちに帰らないとね。
みんな、あんたの帰りを待ち構えているわよ♪
でも、あと少しくらい――
もっとゆっくりできるところで、休んでいってもいいわよね♡