2月14日(月) 【6】 長女・理沙 「愛で色づく世界から ~チョコレシピ大図書館~」
あのおかの上の建物が、ショッコランドの大図書館。
あらゆるチョコ料理のレシピが集められた、チョコレシピ専門の図書館だというけれど。
近づくにつれ、うす暗く、ひんやりしてきて――
ただならぬふんいきですね……!
ランタンをさげた夜回りブラウニーちゃんたちの数も、どんどん少なくなっていきます。
お父さんがいなければ、私――
もっと前に、帰ってしまっていました。
手をはなさないでくださいね――。
ぎいいぃぃ……。
中も真っ暗――
ひっ!
急に光が――
かべ、そしてシャンデリアに、ろうそくがいっぱい……!
……よく見ると、きれいで落ち着く場所かもしれませんね。
あら、今何かが飛んで――
ひゃああ!
お父さん、あれ、あれは――
ブラウニーちゃん?
なんだかとっても色がうすい、半とう明の――
ブラウニーゴーストちゃんですね。
上へ続く階段や、かべの本だなのすきまにも、たくさん飛んでいます。
どうしたのかしら?
「ちょ、ちょ、ちょ……」
元気がなさそうね。
よしよし、大じょうぶですよ。
ふわふわ飛びすぎてつかれたかもしれないから、ゆっくりしましょうね♪
「ちょっこーん!」
ぽぽぽぽぽん――!
まあ!
だっこして、よしよししたら――
色が付いて、元気になったわ♪
「ちょ、ちょ、ちょ――」
「ちょちょ……」
他のゴーストちゃんも集まってきました!
みんな――
よしよし♡
ふふ、どんどん元気になっていくわ♪
この調子で、みんなを助けてあげましょう!
よしよし、ふふ――♪
可愛いなぁ♡
お父さん、この子たち……何だか赤ちゃんみたいですね♡
「ちょこーん♪」
お父さんにも甘えてる……♪
レシピは、みんなを元気にしてから、ゆっくり探しましょう♪
――これで全員かしら。
わぁ、図書館がとってもにぎやかになったわ……!
こんなにたくさん、ブラウニーちゃんがいたのね。
でも、どうしてあんなにうすくなってたの?
「ちょこたち、ここの、ししょなのよー」
「でも、さいきん、おきゃくさんがすくないの」
「ひまだから、いろをうすめて、あそんでいたら」
「もどれなくなったのよー」
「いまは、もとどおり!」
「ママに、かわいがってもらったもん♪」
「ちょっこーん!」
みんな、ここの司書ブラウニーちゃんだったのね。
でも……おっちょこちょいなんだから。
あぶない遊びは、ほどほどに!
もし、またうすくなったら、私たちを呼んでね。
「ちょっこーん♪」
お父さん、みんなが、案内してくれるそうですよ。
チョコ代文明の叡智の結晶、チョコの極意を記したレシピブックに――!
案内というより――
ブラウニーちゃんの列をたどっていけばいいみたい。
色が付いて、どこにいるか、よくわかるわ。
ここは本がたくさんあるし、中身もチョコ語で、読めないから、助かりますね。
着いたのは、最上階……五階おくの小部屋。
この先にあるのね。
でも、カギがいるみたい。
「「「「カギは、ここよー!」」」」
ここ、って――
みんなが一本ずつ持っているの?
どれが本物なのかしら……。
「どれもほんものよー」
「がったいするの」
「でも、ふたりが、パパとママにならなきゃ」
え、えー!?
そんなの、できない……!
「ふたりは、パパとママみたいだったわ」
「ちょこたちみんなの、パパとママ」
「すぐにならなくてもいいよー」
「でも、いつかなる、ってやくそくしてね」
「そんなふたりのための、ほんだもの」
「ちょこーん」
こんなにたくさんの赤ちゃんたちの、パパとママだなんて――
困っちゃいますね……♪
でも、本を借りるためですし。
私は、それがかなうなら――
何だって、できます。
お父さん――
何をすればいいですか?
ううん、これは、きっと――
私が決めなきゃいけないこと。
私の、私たちのわがままで、この世界へ来て――
お父さんを巻きこんでしまったんだもの。
少しの間、目をとじていてください。
そして、このことはわすれて――。
――ちゅ。
お、お父さん――
目を開けてる!?
理沙の優しい気持ち、絶対にわすれない、って――。
はい。
私も、絶対わすれません――!
カギが一つになって、とびらが開いて――
これが、極意のレシピブック……!
チョコ語なのに、読めるようになってる♪
ブラウニーちゃんたち、ありがとう♪
必ず返しにくるからね!
「ちょっこーん♪」




