2月14日(月) 【5】 次女・翔子 「はじまりのふたり ~ホットチョコ海・ガトークジラの海域、アーモン島~」
ガトークジラのせに乗って、目指すはアーモン島!
ショッコランドの生き物は、みんな優しくて親切だね。
ブラウニーちゃんやガトークジラさんの案内がなかったら――
ここに来るまで何年かかかってたよ。
それはそれで、楽しい旅かもしれないケド♪
このホットチョコ海の水はあたたかいし、温泉みたいに体によくてキモチいいらしいから。
後でのんびりつかってみるのもいいよね、とーちゃん♪
見えてきた――
あれがアーモン島……!
すぐに一周できちゃうくらい小さな無人島だケド、おいしいチョコ作りのためのアーモンド採取に来たお客さん用に、サバイバルキットはいつでも備えられてるんだって。
のぼりをかついだ観光案内ブラウニーちゃんが言ってた!
上陸~!
ありがとう、ガトークジラさん!!
手をふったら――
ホットチョコをふいて、あいさつを返してくれてる♪
「 ゆ う き を だ せ ば て に は い る ぅ ぉ ぉ ぉ …… 」
へー、たから探しのヒントかな。
うれしいな!
でも、ボクにコワイものなんてないし――
大じょうぶだね☆
たくさん生えてるこの木がアーモンドの木と思うケド――
花も実もなくて、つかれてるみたい。
ボクらの世界の木とはちがうカモしれないから、わからないケド。
これじゃ何にも手に入らなそうだね。
とりあえず、ボクが登って見てくるよ!
木登りは得意なんだ♪
高すぎるから、やめたほうがいいって?
へーきへーき!
ガトークジラさんだって、勇気を出すよう言ってたじゃない!
それにボク、ケガしたってすぐ治るから――
とーちゃん!?
急にだきしめてどうしたの?
あぶないことは本当にやめて……?
まずは他の方法をさがそう?
う、うん……わかったよ。
ここは時間がゆっくりらしいし、島をぶらぶら歩いてみよっか。
無人島いじ管理ブラウニーちゃんがときどき飛んでるくらいで――
ホントに木と海だけの島だね。
久々にとーちゃんと探検ってカンジで楽しい♪
昔はよくやったケド――
お家のまわりは、もう知らないとこってほとんどないもんね。
すなはまから、ホットチョコ海に入ってみる?
さっき見つけたサバイバルキットに、水着もあったんだー♪
うーん、いいキモチ♡
それに、チョコの味がしておいしい♪
いつの間にか、日もくれてきたね。
星もキレイだ……。
あれがウエハース座で――
あっちはトリュフ座かな?
もう暗くなっちゃったし――
たき火でもしながら、そろそろねよっか。
ボクから早くねようなんて、めずらしいって?
仕方ないじゃーん、暗すぎるもん!
そのかわり――
ねながら、たくさんお話ししよ♡
さっき、ブラウニーちゃんたちがベッドを用意してくれてたよ!
ふたり用のハンモックにもできるらしいから――
ボク、そっちがいい!
――結局、アーモンドは手に入らなかったね。
朝になってまた考えよう……。
ハンモックをつった木は、案外じょうぶみたい。
ふたりで、ゆらゆらしながらねてると、昔を思い出すな――。
だっこしながら、ゆらしてもらうのが好きだった気がする♪
今でもたまにするだろうって?
あー、そうだね!
とーちゃんとボクは、ずっと変わらないもんね♡
でも、もし――
このまま、アーモンドが取れなくて。
ここから出られなかったら……どうする?
そうしたら、ボクたち――
この島でふたりきりの人間で。
ここに、お家を作ってくらすのかな……。
いつまでも、ふたりきりだと、さびしくて――
赤ちゃんとか、ほしくなったり。
その前に、だれかが見つけに来てくれるか。
ケド、それまで長い間――
みんなに会えないのはイヤだな――。
とーちゃん。
ふたりきりなら――
もっと近付きたいよ。
もっといっしょになりたいよ。
とーちゃんとボクが――
変わっちゃうカモしれないケド。
今までどおりのままなら――
今夜、ねむれないカモ――。
みんながいなくてさびしいぶん――
とーちゃんで、ボクをもっといっぱいにして――
ちゅう――♡
ざわざわ……!
わっ、木が動いた!?
島中の花が、いっせいにさいてる!
桜みたい……。
みんなでお花見に来れたら楽しそうだな――。
あ、もう――
花が散って――
実が成ってる?
ぽろぽろぽろぽろ――。
こっちに向かって落ちてきた!
ハンモックが、アーモンドでいっぱい!!
つやつやしてて、キレイだね。
これで、おいしいチョコを作って――
とーちゃんにボクのキモチ、伝えられる……♡




