12月24日(木) 三女・凛 「今日の幸せ」
今夜はクリスマス・イヴ――。
街も人も、うわついているわね。
ウチのさわがしい組も、すっかりはしゃいじゃって――
優結と愛は、もうあんなに先に行ってしまっているわ。
ま、翔子姉さんもいっしょだから、大じょうぶか。
私は、クリスマスには何の期待もしていない。
サンタさんのプレゼントは、よい子のためのごほうびだもの。
私には関係ない――。
そう思っていたけれど。
……実は、ちょっぴり楽しみかも。
だって、街もお家もきれいになって――
妹たちのうれしそうな顔もたくさん見られるもの♪
……ケーキだっておいしいし。
考えてみたら、自分にプレゼントがあるかどうかは置いておいて――
クリスマスを楽しんだっていいのよね。
たとえば、イルミネーションの中を、あんたとこうして、ならんで歩くこととか。
今年も色々あった……けれど。
あんたの顔を見ていると、本当に色々あったのかな?
何もなかったんじゃないかな?
と思えてくるわ。
色々あったと思っているのは、私だけなのかなって。
それでもいいの。
私は全部覚えている。
私が言ったこと、あんたがしてくれたこと――。
ずっと覚えていて、それが、大切なものだから。
一週間後には、今年もいい年だったなぁ、ってふり返っていると思うわ。
巴が言うには――。
「パパとママには……サンタ氏への……コネクションがある……。
言いたいことがあるなら……言伝するといいわ……」
――とのことだけれど。
本当なの?
あまり信じていないけれど――
もし、話すことがあったら、伝えて。
私のほしいものは、もう全部そろっていて。
これからふえることもないと思うから。
プレゼントをなやまなくていいですよ。
――って。
実さい、私にとっては――
毎日、プレゼントがとどいているようなものなのよね――。
ねぇ、手ぶくろをあんたのコートの中に入れてもいい?
……あんたも、同じポケットに入りたいの?
……いいけど。
そのほうが、手をつないでも、周りに見えにくいし。
――うん。
これが今日の分ね。
あとでメモしておかなきゃ。
凛よ。最近、私たちの物語の一つが、一区切りしたみたいね。
こちらから読めるらしいわ。↓
『パパと娘⁸のらぶらぶライフ ~うまれたときからアイしてるっ!~』
https://ncode.syosetu.com/n8492fa/
私たちの未来は、どうなっているのかしらね――。