2月14日(金) 【3】 長女・理沙 「間の時間」
お父さん、大じょうぶですか?
さっき、愛ちゃんがあわててトイレに走っていきました。
よっぽどお父さんに伝えたいことがあって――
夢中になってしまったんですね♪
ふふ、今朝も大さわぎです♪
早めに朝ごはんを食べてください。
そうしないと、また何か起こるかも――♪
今日は特別な日ですし♡
今朝のこんだては――
サケのおみそづけと、しじみのお吸いもの、ほうれん草のおひたしに、たまご焼き♪
それから――
はい、白ごはん♡
私も準備ができたので――
いっしょに食べましょう♪
――いただきます!
う~ん、おいしい♪
やっぱりお母さんの味付けは格別です!
私がお手伝いできたのは――
そうだな、二割くらいかしら。
お父さんもおいしいですか?
――よかった♪
お母さんのお料理を喜んでもらえると――
何だか自分がほめられたみたいに、うれしくなっちゃいます♪
あ、そんなお話をしていると――
お母さんがみんなを起こしてきたみたいです。
だんだん声が近づいてくる♪
そろそろ時間ですね。
食べ終わったら、食器は置いていてください。
私たちはまだ時間があるので、後で片付けておきます。
げん関に行くなら、私も。
今まで、このげん関から、何度お父さんを見送ったんでしょう。
一日のうち、お父さんに会えない時間が長くて長くて――
凛ちゃんといっしょに、よく泣いていたころもありました。
少しでも長くいっしょにいたくて、早起きをするようになったんです。
今はもう泣かないですよ。
会えない時間でも、できることはたくさんありますから♪
それに――
お父さんも同じ気持ちだって、知っているもの♡
はい、これが今日のお弁当です♪
私が作ったのは――
三割くらい。
でも、いっしょに入っているチョコは――
100%、理沙製です♡
あとは、お見送りのキスですね。
みんながここへ集合する前に、させてください――。
お父さん、いいえ――
いってっらっしゃい、あなた♡
って、これはさすがに、いけないでしょうか……?
でも、そうだとしても――
その間の呼び方を、知らないもん――。