9月27日(火) 三女・凛 「ヒミツの意味」
理沙姉さんは、さいなんだったわね。
ヒミツにしている大切な日記を、だれかに見られてしまうなんて、本当に――
本当に、つらいことだわ。
見られた相手が翔子姉さんだったわりには――
あまりさわぎにならなかったのが、せめてもの、すくいかしら。
でも、ノートとまちがえて、わたしてしまうなんて――
いつも、どこに置いているのかしら。
少し、心配だわ。
だれにも見られなくない、大切なモノは――
やっぱり、カギをかけて、かくしておかないといけないのよ。
自分でも、そう、かん単には、見られないように……ね。
今度、理沙姉さんに、教えてあげようかしら。
何ならいっしょに、カギつきの小物入れなんかを、買いに行ってもいいわ♪
もっとも、いくら上手に、かくし場所を用意したって――
置き場所をまちがえてしまっては、仕方ないけれどね……。
そういえば、こういう話題については――
私も、えらそうなことは、言えない立場だったわ……。
今の私にできることは――
理沙姉さんのつらさが、いやされることを、願うくらい。
なぐさめてあげたいところだけれど――
そうされることすら、イヤなときだってあるから。
いい?
あなたも――
こういうことは、覚えておいてね?
何でも首をつっこめば、いいってものではないの。
ときには、だまって見守ることも大事。
きっとそれも――
親の役目なのよ♪
私の場合は――
あんたに見守ってもらう必要なんかも、ないけれどねっ!
わかったら、くれぐれも――
ヒミツのセンサクなんて、しないことね。
それは――
あんたのためでもあるのよ?
ヒミツには、必ず――
ヒミツにするだけの、理由があるの。
大人の自分にとっては――
子どものヒミツくらい、何ともないって、思っているかもしれないけれど。
それは――
あまいというものよ♪
世の中には、まだまだ――
いつものほほんとしている、あんたなんかじゃ、想ぞうできないようなことが、あふれているわ。
たとえば――
知ってしまえば、それまでの人生が、すっかり変わってしまうようなヒミツとかね。
今まで通り、平和にくらしたいなら――
よけいなことは考えず、ビールでも飲みながら、優結の頭でも、なでていればいいの♪
今日もママを手伝って、ばんご飯を作っている理沙姉さんをほめることも、わすれずに、ね。
言っておくけれど――
もし、理沙姉さんを泣かせるようなことがあったら――
何をしたって、ゆるしてあげないから!




