表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
277/943

8月31日(水) 五女・巴 「アイ・トラッキング」

 今日は、『(8)(31)の日』。

 ちょうど、おじーちゃん、おばーちゃんたちから、新鮮なお野菜が、たくさん送られてきたわ……♪


 ママと理沙姉さんが、サラダをはじめ、野菜料理を作ってくれるそうよ……。

 私は、お野菜もおいしく食べられるから、楽しみ……♪

 ピーマンだって、平気なのよ……?


 でも――

 ブロッコリーは、ダメね……。


 もし、あれが出てきたら――

 特別に、パパへプレゼントするわ……。




 それはそうと――

 夏休みも、もう終わるのね……。


 自由に使える時間が減るのは、惜しいけれど――

 なかなか有意義に過ごせたから、私は満足よ……♪


 色々なイベントもあったし――

 桑之助と再会できたことが、最高にうれしかったわね……♡


 やっぱりあの子、かわいいわ……♡

 少し見ない間に、何だかたくましくなったみたいで――

 木にしがみつく姿も、サマになっているのよ……。


 家に連れて帰りたかったけれど――

 林の中だからこそ、いい子に育つのかもしれないわね……。




 そして、この夏休みの、最も大きな収穫の一つは――

 自由研究よ。

 ようやく、一定の成果が出たの……♪


 自由研究といっても――

 アサガオの観察のことじゃないわよ……?


 それはそれで、しっかりやったけれど――

 他にも、自主的に取り組んだ研究があるの……♡


 テーマは――

 『視線解析による愛情の種類の判別方法について』。


 つまり――

 人の視線を解析することによって、その人が、どんな対象に、どんな種類の愛情を抱いているかを判別する――

 そんなことが可能かどうか、という研究よ……。


 もっと簡単に言うなら――

 パパが私を見ているとき、どんな気持ちなのかを調べる――

 ということね……♡




 これは、私が前から気になっていたテーマなの……♪


 もともとは、写真に写ったパパの視線を解析して――

 ママと娘以外の女の人に、どれくらい興味があるかを調べたことが始まりよ……。


 そのときの結果は、前にも言った通り――

 パパは、家族以外の女性には、ほとんど興味がなくって――

 私たちのことを、ものすご~く、アイしてくれていることが、わかったわ……♡


 そこで今度は――

 視線をさらに解析することで、その愛情はどういう種類のものかまで、調べてしまおうというの……♡


 うふふふふ……♡

 どうかしら……?

 何だか、ぞくぞくしてこない……?




 だって、パパったら――

 私たちがどれだけアイを伝えても、なかなか応えてくれないんだもの……。


 家族の好きと、恋愛の好きは違う、とか――

 よくわからないことばかり言って……。

 そんな区別なんて、本当にあるかどうかも、わからないのに……。


 ……だけどね?

 この研究で、パパの本当の気持ちがわかれば――

 パパももう、言い訳なんてできないと思うわ……♡


 なぜならパパは――

 家族も恋人も友だちも――

 全部を合わせて、全部を越えたくらい、私たちをアイしてくれているんだもの……♡

 解析結果がそう出ているのだから、間違いないわ……♡




 そう――

 アイよ。


 色んな意味があって――

 妹の名前にもなっている、“愛”の字では、なくって。

 もっと単純に、ただただ好きっていうだけの、アイ。


 パパと私たちは、きっとそういう関係だから――

 細かいことで、悩まなくていいのよ……♡




 どういう解析で、そんなことが、わかったのかって……?


 それは――

 パパの視線の動きと、そのときの服装――

 それから、気温の変化と、日ざしの角度、周辺の交通量や星の位置等々を、様々なビッグデータと関連付けて――

 私の作った計算式に当てはめていけば、この結果が得られたのよ……。


 まあ――

 わかるように説明するのは難しいから、そこはあんまり気にせず――

 私が言ったことを、ただ信じてもらえればいいわ……。

 絶対に、間違いはないから……!


 だって――

 パパも自分で、気付いているでしょう……?


 私たちを見ている目に――

 ただの家族への気持ち以外のものも、混じっているって……♡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ