表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
251/943

6月19日(日) 【2】 三女・凛 「当たり前のこと」

 今日は、父親への感謝の気持ちを伝える日、だけれど――

 そんなの、必要なのかしら?


 だって、感謝の気持ちなんて――

 わざわざ言わなくても、わかってるでしょ?


 あまりにも当たり前のことを、言うなんて――

 何だかバカバカしいって思わない?




 ――どうしても、言わなきゃ、ダメなの……?

 はぁ……。


 「せっかくの機会だから、素直な気持ちを伝えほうが、絶対いいよ」って――

 姉さんたちも、妹たちも、みんなして、しつこく言うから――

 一応、言っておくわ。


 ……ありがとう。


 別に、こんな日に言わなくたって――

 あんたに感謝していないわけが、ないじゃない。


 大体、家族なんだし――

 理由なんかもいらないわ。


 ママや、娘たちにとって――

 私にとって――

 あんたは、そういう存在なのよ……?




 ううん――

 本当は――

 家族とか、感謝とか――

 それ以外の気持ちも、色々あるけれど。


 それは――

 絶っっっ対に、言わないわ!


 あら、もしかして――

 聞きたいの?

 本当に?


 だったら――

 カクゴは、あるんでしょうね?


 私のヒミツを知ろうというのだもの――

 相当なカクゴがなくてはダメよ?


 ……うん、やっぱりダメね。

 今のあんたに、受け止められるようには、思えないもの♪


 ヒミツはヒミツのままにしておくのが――

 きっと一番いいのよ♡




 あと、それから――

 プレゼントのアルバムの編集、私も手伝ったわ。

 全員参加だから、仕方がないわよね。


 あんたにハジをかかせるために――

 とっておきの、はずかしい写真を、たくさん用意してあげたわ♡


 たとえば――

 ビニールプールで遊んでいる優結たちに、水をかけてあげようとして――

 自分がずぶぬれに、なっている写真とか。


 遊園地で、私がもらった風船が、木に引っかかったのを、取ろうとして――

 しりもちをついた、写真とか。


 あのときは、大ケガをしたんじゃないかって――

 ものすごく心配したものだわ。


 でも、私が泣いていた――

 というのは、みんなのカン違いよ?

 結局、何ともなかったわけだし。


 こうして写真で見ても――

 あんたって本当に、いつも家族のことばっかりね……。

 何だか、あきれるわ……。




 それと――

 写真のことで、もう一つ、話があるの。


 本当に、どうでもいいことだけれど――

 私の部屋にかざっている写真を、少し変えてみたわ。


 私は部屋に、家族とか友だちの写真を、かざっているけれど――

 実は、あんたのは、一まいもなくて――

 写っているところは、わざと、かくしている――

 ってこと。

 あんたも、知っているわよね……?


 あれは別に――

 あんたがイヤで、かくしていたわけじゃないから!


 それだけは――

 信じていて。


 かくしていた理由は……

 言えないけれど。




 とにかく、その写真のかざり方を――

 あんたが写っているのも、かざるように――

 変えてみたの!


 私にとっては、一大決心だったのよ……?

 理由は……

 やっぱり、言えないけれど。


 気持ちが変わったから、とかじゃなくて――

 むしろ気持ちは、いっしょのままで、大きくなっているかもしれないけれど――

 それでも大丈夫かなって、思えるようになったの。


 ああ――

 意味がわからなければ、別にいいわ!




 要、する、に――

 私だって、色々成長しているってことよ!


 だから――

 いつまでも子どもあつかいは、やめてよね!


 わかったら、今日一日は、何もしないで――

 私たちに全部、まかせておきなさい♪


 今日は、あんたの――

 パパのための日、なんだから……♡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ