6月18日(土) 五女・巴 「巴、おにぎる」
先週あたりから我が家は、プールだ水着だと騒がしいけれど――
私は興味がないから、こうして、おにぎりでも握っているわ……。
どうして、そんなことをしているのかって……?
それは、今日が『おにぎりの日』だから、ではなくて――
単純に、お昼ご飯にするためよ。
私だって、たまには、お料理のお手伝いをするのよ……?
それに、私はもうすぐ出かけるから――
お弁当がわりに、少し持っていくわ。
行き先は、かなち……可奈絵、さん、のお家よ。
前にお邪魔したとき、お昼をごちそうしてもらったから――
そのお返しのようなものね。
本当はおにぎりより、もっといいものにしないと――
と、思っていたのだけれど。
可奈絵……さんが――
「ともりゅんが、つくったのがたべたい! なんでもいいから! ともりゅんのがいいの♪ っていうか、ともりゅんをたべたい~♡」
――って、言うんだもの……。
私が作れる食べものなんて、おにぎりくらいしかないから――
必然的に、こうなるのよ。
カップめんだって、お湯が熱くて、作るのはちょっと怖いし……。
……そんなわけで、こうしてせっせと、おにぎりを握っているの。
よかったら――
パパも食べてみて……♡
私が持っていく分をのぞいても――
おにぎりの数は、十分あると思うわ。
少しばかりしょっぱいのは――
塩をふりすぎたの……。
別に……手汗じゃないわよ?
確かに私は、理沙姉さんや凛姉さんといっしょで、手汗をかきやすいけれど――
このおにぎりたちは、大丈夫だと思うわ。
……たぶん。
ところでパパは――
“おにぎり”と、“おむすび”の違いって、ごぞんじ?
色々とあるようだけれど――
分かりやすいのは、形によって呼び名が違う、というものね。
“おにぎり”の形は何でもよくて、“おむすび”は必ず三角形――
らしいわ……。
私が握ったものは――
丸いから、“おにぎり”ね。
というか、三角にしようとしたって――
どうしても丸くなっちゃうのよ……。
ママがときどき使っている、おにぎりの型を借りれば、もっと色々な形にもできるでしょうけれど。
可奈絵……さんから――
「できたら、ともりゅんの手で、にぎったのがいいな! ともりゅんが、しーかっり、にぎったおにぎり……たべた~い♡」
――って、言われているのだから、これでいいわよね……?
それにしても、このおにぎりたち――
ずいぶん大きくなったわね……。
パパは平気だと思うけれど――
みんなのお口に、入るかしら……?
まあ、大は小を兼ねるというし――
きっと大丈夫よね……?
……今のフレーズは、自分にダメージが入ったわ……。
では、パパ――
いってきます……♪
あ、最後に一つ――
忠告があったわ。
優結が大量のおにぎりを見ると――
おむすび、もとい、おにぎりころりんごっこを、始めるかもしれないの……。
今日のお昼が、ころころと穴へ落ちていかないように――
気を付けてね……♡




