表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋より愛より  作者: 水歩
4/11

page4

 長方形の縦に長い机を囲むのはたくさんの人たち。白い髭をたっぷり蓄えた男性もいれば、まだ成人したばかりであろう若々しい女性もいる。でもほとんどは誰かの意見に乗っかるばかりで、専ら意見を出すのはティノともう一人、クラーク・クレイズばかり。先の時代に王を傍らで支え続けた二人の発言はとても強い。周りは二人の派閥に分かれて、相手の意見を潰し、自分側の意見を押し通そうと必死だ。

 勿論議題は今後のこと。なんでも歴代の王、女王はみな成人してから王位についていて、私みたいな幼子がそのくらいにつくことはなかった。…らしい。つまり前例がない。これから自分たちで手探りで時代を切り開いていかなければいけない。それは自分たちに有利な状況がいくらでも作れちゃうわけで。自分たちの主導権を握るために、今醜く争っている。

 ティノは女王をお飾りとして、自分たちが政を行おうという。そんなあからさまな言葉じゃないけど、要約すればそういうことだ。そうやって自分たちが陰から操って、実権を握ろうとしているのだ。ゲームの時みたいに。

 逆にクラークは女王の意見も聞いて政をしようという。それ、いいの?中身はこんなだけど、見た目は四歳児だよ?政のまの字も分からない子どもの意見聞いて、いいの?…私にとってはそっちのほうが、都合いいけど。

 なんでこんな対立する二人を傍に置いたのかなぁ、父様は。まぁ確かに、似通った意見ばかり置く人たちを置いといたって、仕方ないのだけれど。政策に偏りが出なくなるだろうしね。それにしたってこの対立具合は、ねぇ?

 ううん、それにしてもどうしたらいいんだろ。誰もこちらを気にしてないのをいいことに、一人腕を組んで考える。

 未来のことを考えると、ここで大人たちに丸投げしちゃうのはよくないよなぁ。ティノ勢力に渡すなんてもってのほかだし。だからといって私はこの国の実情を何も知らない。政の仕方なんてもっと知らない。本来なら五歳になってからそういう教育が始まることが決まっているのだ。だから私はまだ最低限のマナーと、若干の読み書きしかできない。そんなんじゃ国の政を預かるなんて到底無理だ。


 時間が欲しい。十分な時間だ。


 どうしようどうしよう、やっぱり誰かに政を任せるしかないのかな?でもそうしたらティノ側に任せるのはやだなぁ。クラーク側に任せる?それでもティノ側が暗躍して排除にかかったらどうしよう。…一年、いや二年?あれば私は政の基礎を覚えられるかしら。その間だけ、周りの大人に政を預けてみる?さすがに二年だったら大丈夫…かな?楽観的かな?やってみなきゃわからない。もし腐らされたら、気合と根性で直して見せる。…でも結局これは、ティノの側の意見が通ることになるのかな?あれ?


「わたくし、皆様に提案がございますの」


 私の言葉にそれまでもめていた大人たちがばっとこちらを見た。その顔には驚きと戸惑いが浮かんでいる。

 そりゃそうだよな。こんなちびっこの提案とか思いつかないもの。

「どうかしましたか、サラサ様」

 クラークが代表して尋ねてくる。見た目は好々爺といった雰囲気なのに、やたら目つきだけ鋭い。ちょっと怖い。…でも、あれ。その目元がどこかで見たことある気がする。…誰かに、似てる?まぁ、いいや。

「どうかわたくしに二年の時間を下さいな。二年でこの国の為政者となって見せます。国民に認められる王として、育って見せますわ」

「しかしそれでは、王の不在の間は誰が政を行うのですか?」

「ぜひ、私にお任せください、サラサ様。あなた様の代理、立派に努めて見せます」

 まだ途中なのにクラークとティノが口を挟んでくる。話は最後まで聞いて―。

「ええ、ティノの心意気、しかと受け止めますわ。…しかし、わたくしはクラークにわたくしの代わりを頼みたいの」

「そんな、サラサ様!」

 ティノ側の人間なのか、若い女性が声を上げる。…つく人間を考えたほうがいいんじゃないかなぁ。

「もちろん完全に任せるわけではございません。これまで通り、皆で議論し、物事を決めていってくださいな。クラークにすべての権限を与えるわけではございません」

「ではなぜ、クラーク殿なんですか?」

 何も感じさせない、いっそ清々しいくらいの無表情でティノが私に問いかけてくる。さっきまではすごいニコニコして私のご機嫌取りをしようとしてたくせに。

 だから私は最上級の笑顔を作って、にっこりとティノに聞いた。


「父様…フォース王が亡くなったのは、どうしてでしょうか、ティノ?」


 一瞬にして、ティノの顔色が変わった。


こんな四歳児嫌だ。


書いてあることがだいぶ無茶苦茶ですいません…深く考えずさらっと読み進めていただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ