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プロローグ 才色兼備なぐーたら姫

初の平安ものです!!


未熟な部分がたくさんあるとは思いますが、温かい目で見守っていただけるとうれしいですo(^▽^)o




時は平安。











今上帝の下、絶大な権勢を誇る左大臣様がおりました。



名は、藤原貴成(ふじわらのたかなり)



弱冠36歳にして左大臣にまで上りつめたこの御方、8人もの子宝にも恵まれ、現在42歳にして、未だ飛ぶ鳥を落とす勢いは衰えを見せず、帝の信も厚く、ますますの栄華を極めていらっしゃるのでございますが、そんな人生お花畑な御方にも、1つ頭の痛い悩み事がございました。



左大臣家には2人のご子息と6人の姫君がおりました。



6人の姫君のうち、一の君様と四の君様は先帝と同腹の女御腹の妹皇女(いもうとみこ)である、左大臣様の正妻を母君にもつ姫君たち。


二の君様と五の君様は右大臣様の末の妹姫を母君にもつ姫君たち。


六の君様は大納言家の一の姫を母君にもつ姫君。



どの姫君も由緒正しい才色兼備の当代一の姫君として、若い貴族男性たちの憧れの的でございました。






ここで “あれっ?” っとお思いになった皆様。


なかなか鋭くていらっしゃいますね。



左大臣家には、もうお一方、姫君がおいでになります。



それが、誰あろう、この物語の主人公、三の君様。



この姫君こそ、栄華を極め、人生お花畑、この先、数十年は安泰であろう、と世間で噂される、傍から見れば、悩むべく事など何もなさそうな、今をときめく権力者、左大臣様を悩ませている唯一の事柄の元凶でございます。



三の君様は先の兵部卿の宮様の二の姫を母君にもつ由緒正しい姫君でございますが、三の君様が8歳のとき、祖父君の兵部卿の宮様がお亡くなりになり、その後、母方のご実家が権勢を失ったため、没落こそしていないものの、表舞台に出てこなくなったことで、左大臣家の中ではいざ知らず、貴族の間では忘れられた姫君でございました。



ところがこの三の君様、そんなご自身の境遇を嘆くどころか、むしろ喜々として受け入れ、宇治の母君のご実家で悠々自適な生活を満喫しておりました。



実は、この三の君様、左大臣家の6姉妹の中でも群を抜いた美女であり、楽器や和歌においてもずば抜けた才をもつ、ここだけ見れば極上の姫君でございますが、如何せん、何に対してもやる気がない、すべての事柄を “めんどくさい” の一言で片づけてしまう、ナマケモノもびっくりな、超絶ものぐさぐーたら姫でございました。





そんな三の君様も御年(おんとし)18。




姉君の一の君様は、14歳で今上帝の下へ女御として入内し、藤壺を賜り、2年後、皇子(みこ)様をお生みになってから、早10年。4年前に皇女(ひめみこ)様をお生みになった後、中宮の位を賜り、26歳になった今も、変わらぬ美しさで帝をとりこにしていらっしゃいます。


二の君様は、13歳で現在の兵部卿の宮様の正妻として嫁がれ、早9年。22歳になった今は、2男1女をもうけられ、幸せに暮らしておいでです。


妹君の四の君様は、14歳で現在の弁の少将様に嫁がれ、早2年。半年ほど前に姫君をお生みになり、夫君との仲もすこぶる良好。いちゃラブ新婚生活を満喫中でございます。


五の君様は現在14歳。半年後に式部卿の宮様とのご結婚を控えていらっしゃいます。


六の君様は現在12歳。左大臣家の未婚の (世間的には) 最後の姫君として、名だたる公達からの求婚の嵐だとか。



ところが三の君様に至っては、お小さい頃から、なまじ頭がよろしかったために、兄君たちに自身の話を人様にはしないようにと、10年も前から根回し済み。おかげで今ではまんまと自身の存在を世間から消し去ることに成功し、父君の左大臣様が気づいた時には、時すでに遅し。ご本人は、幼い頃からの根回しが功を奏し、ようやく手にいれた平穏な生活の中で、誰にも邪魔されないぐーたらライフを満喫中。世間では、左大臣家の幽霊姫としてたま〜に人様の話題の端に上るだけという有様。18歳にして、未だ文を交わす殿方の一人もおられず、嫁き遅れ街道まっしぐら。


にもかかわらず、三の君様は危機感の一つもおもちでない。むしろ、喜んで現状維持を希望なさっているという状況に、頭を抱えられた父君の左大臣様は、半年ほどは三の君様に言いくるめられていたものの、とうとう堪忍袋の緒が切れられて、



「婿の一人二人捕まえてこい!!」



と雷を落とし、三の君様はこの度、18歳にして初めて、宮仕えをなさることに相なられまして、



「お金に困っているわけでもないのに、なんだって、宮仕えなんてめんどくさいものをせにゃならんのよ。」



などと、ぶつくさ文句を垂れつつも、父親の命令に娘が逆らうことのできない、このご時世。泣く泣く宇治から這い出していらした次第でございます。



当初は、三の君様を二つ年上の東宮の妃に、と考えておられた左大臣様でございましたが、三の君様の、最近のあまりのぐーたらぶりに、東宮妃として入内しても、ぐーたらする場所が、宇治の邸から内裏に変わるだけであろうと、これまた笑えない予測をされ、それならば、現在、中宮として内裏に上がっている一の君の女房として内裏に上がれば、一の君に見張られて、まだましに活動するのではないか、とお考えになられまして、この度の宮仕えと相なったわけでございました。










これは、恋をするのも “めんどくさい” と切り捨ててしまうような乙女の風上どころか、風下にも置けない、超絶ものぐさぐーたら姫の、



ーご本人はまったくもって、そうは思っていらっしゃいませんが・・・



周りから見れば、崖っぷち恋愛譚でございます。












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