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COMATOSE  作者: awa
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PROLOGUE

 彼がそういう意味ではじめて女を知ったのは、中学一年生の夏だった。

 相手は別の中学に通う二歳年上の中学三年生。進学する気も就職する気もない暇な女で、センター街にいた彼に、彼女が声をかけたのがはじまりだった。連絡先を交換し、会う頻度はどんどん高くなって、知り合ってから約一ヶ月で、交際ではなく先にカラダの関係になった。

 彼は、恋をしていたというよりは、知らない世界を見せてくれた彼女との時間を楽しんでいた。女の色々を教えてくれたのも彼女だ。

 しばらくはうまくいっていた。だがしばらくして、ただのベッド友達だった彼女が、真面目に交際したがるようになった。彼がそれを拒否する理由はなかったものの、恋人になったとたん毎日会いたいと言いはじめ、束縛もするようになった。そして面倒に感じた彼は別れを切りだした。


 次に彼に恋人ができたのは、二年に進級するまえの冬だった。同じ中学の同級生で、男女数人で遊んだ時にメールアドレスを訊かれ、その後告白された。特別好きだったわけではないが断る理由もなく、容姿や知っている範囲の性格から、なんとなく交際をはじめた。。

 地味すぎず目立ちすぎずだった彼女は、同級生だということもあり、扱いを間違えると面倒なることは彼にもわかっていたので、彼なりに我慢した。数ヵ月後に控えた彼の誕生日を一緒に祝ってくれるとも言っていた。

 しばらくしても彼の中にこれといった特別な感情が芽生えたわけではなかったものの、そろそろいいかと思い手を出した。だがそれが失敗だった。ベッド・インした翌日から、ひどい束縛と嫉妬がはじまった。女友達と話をすることすら嫌がるようになり、喧嘩になって別れた。


 中学二年の夏休み、彼はあるドラマに夢中になった。

 愛だの恋だのというのには興味がなかったのに、なぜかそのドラマには釘づけにされた。ストーリーは、子供には早すぎるだろう内容だったものの、その中で女が語っていた“運命の相手”というのを、彼は、中学生なりに真剣に考えた。

 “運命”で繋がっていれば、どれだけ長い時間音沙汰がなくても、たとえ消息不明でも、何年かしてまた再会し、しかもそこにある想いが本物なら、また恋人になれるという。

 その“運命”は、今も彼の信条になっている。


 それでも、悪い癖は治らなかった。ベッドに連れ込めそうな何人かの女とは、交際をはじめるまえにそうなった。ドラマの影響か、“好き”という感情がよくわからなくなった。それまでもよくわかっていなかったのに、よけいにわからくなった。

 ある女に説教されたことや、わけのわからない自己嫌悪に陥り、親友に言われたこともあって、高校生になるまえからは、せめて交際している相手とだけということにした。


 彼はどうにかそれを守っているものの、もともとの性格か、女友達が多いことや口調が軽いこともあり、中学三年から交際した三人の女は、冷たいと言って彼を責めた。束縛しようとしたり、どうせ好きではないのだと泣いたり、もっとちゃんとしろと怒ったり。

 けっきょく彼は誰とも長続きせず、そのうえ、高校二年生になってから、誰ともつきあっていない。その高校二年生ですら、あと三ヶ月で終わろうとしている。

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