その8
ゆったりと微睡んでいたところに声をかけらえれ振り返って見た顔は、今お知りたいになりたくない人ランキング絶賛1位のお方だった。
げっ!!第一王子!!
うわぁ。リィル叔母様、絶対確信犯だわ。そんなに妃候補の小娘達が気に食わないのか!!
私は、王妃なんか絶対に嫌だし、休暇だというから静かな場所でゆっくりしたいと言ったのに~。てか、この場所には、最近は誰も出入りしていないって言ったじゃない!!第一王子が来ないかも確認したじゃない!!リィル叔母様の嘘つき!!
「ここは王族の許可がなければ出入りできない場所、誰の許可を得てここにいる!答えよ!!」
「王妃さまより許可を頂きここにおりました。殿下がお立ち寄りの場所とは知らず失礼いたしました。すぐに立ち去りますのでご容赦下さい。」
さっと立ち上がり、深く頭を下げる。
「義母上から許可が出ているだと?西の庭園ならば客人も招くことは稀にあるが、ここは身内しか立ち入らせないはず。そなた何者だ?」
ちっ!!すぐ出てくって言ってんだがら細かいこと気にするなよ。名乗らずさっと逃げる予定だったのに。
「名乗りもせず失礼したしました。申し遅れました、私、三階層蓮王姉、アリスティア・ユーリ・リーフォントと申します。王妃さまの姪にございます。静かで誰もいない場所でゆっくりしたいと我儘を申したところ、こちらを紹介されました。殿下がお立ち寄りの場所と露知らず大変失礼いたしました。重ねてお詫び申し上げます。」
「姪?ああ、義母上は三階層出身の方だったな。蓮国の姫君とは知らずこちらも失礼した。義母上が許可を出したというならばそのままいていただいて結構です。」
「いえ、私はそろそろ部屋に戻ります。御前失礼いたします。」
誰がこれ以上ここにいるか!!各国の姫さま方がいくらお誘いしても答えてくれないと嘆いているのに、一緒にいたことがバレたら面倒な事になるわ!!
「殿下が許可したにもかかわず行ってしまわれましたね。
あの方が蓮国の姫君ですか。そういえば、あの方からだけはお誘いを受けませんでしたね。お付きの侍女も連れてきていらっしゃらないとの事です。」
「・・・そうか。」