その14
・・・なんで私ここにいるんだろう。・・・ダメだ!!最近この手のセリフが多すぎる!!
アリスは、思わず自分の心の声に自分で突っ込みを入れてしまう。
「なにをしている、アリスティア。出発するぞ。」
「はい。申し訳ありません、殿下。只今参ります。」
ぶっちゃけ現実逃避中であった。
レオナルドと初めて出かけてから数日後に今度はレオナルドから遠乗りの誘いがあったのだ。そのことをアンから聞かされた時は思考が停止した。
アンは、今回リィル叔母様の人選でアリス付きの侍女となった5人うちの1人で侍女のまとめ役をしている。
ちなみに正式な異界を繋ぐ扉を使えば一度に数十名が界を渡ることができる為、アリス以外の姫君たちはお付きの侍女を何人も連れてきている。
誘拐のごとく召喚陣で連れてこられたアリスにほもちろん侍女はいない。召喚陣での異渡りは基本的に生き物以外を主に運ぶ為のもので人は一人魔力の性質上が限界なのだ。
レオナルドとの外出は思いのほか楽しいものだったのだが、妃になるつもりなどさらさらないアリスは別れ際にまた行きたいと言いつつ何の誘いもしなかったのである。
女嫌いで通っているぐらいだからこちらから誘わない限り接点などないに等しい。
他の姫たちがガンガン誘いをかけているのは噂で聞いていたので早く誰かに決まって帰りたいなぁと思っていた。
普通、王族や貴族の娘は20歳までには結婚するものなのでアリスは完全に嫁き遅れ。叔母にも言ったがわざわざ自分などを選ぶはずもなく、若くて可愛い姫を選ぶだろうと高をくくっていた。
が!!それなのになぜかレオナルド王子から遠乗りの誘いが来てしまったのだ!!
他の姫からの誘いは断ったというではないか!!なぜだ!?
仮にも妃候補として城に滞在しているので王子からの誘いを断れるはずもなく、本日2度目の一緒のお出かけとなった。
アリスは、黒耀に顔を埋めながらなぜこうなったのかと呻いていた。
次回はレオナルド視点の予定です。