第三三話 非日常 フェアリーサークル
今晩は。
投稿です。
どうする?
何か手はないのか!?
あ!
「鈴木さん、合唱部だったよね?歌って!」
「ええっ!?ここで?……恥ずかしいよぉ、それに今は……」
「班長命令!みんなのため!」
そう、この闇はなんかおかしいのだ。
絶対に普通の停電じゃない!
「歌ば歌え!非常灯も消えとる、この闇はおかしか!みんなば集めろ!」
オトネの声に、多分頷いた鈴木さん。
「……ソロなんて……合唱なのに……」
「カラオケと思えばよか」
「ええっ!?……もう……」
「なんだよ、鈴木、お前歌も歌うのかよ?」
もう、とか言いながら、鈴木さんは歌を歌い始めた。
「え!?」
「うまっ!?」
「え?鈴木?こんなにうまいの?俺のバンドのボーカルに……い、いてぇよ!ひかりっ!」
「ふんっ!」
それは大きな輪県出身の、3人組のバンドの歌だ。
恋の想いが届くという歌。
その歌は、駅構内に響き渡った。
……おい、歌声が……
……ライターは着くぞ!……
……向こうに行こう!……
……お母さん、向こうから歌声が……
大人達も子供達も集まってくる。
闇は時間感覚を奪う。
時計すら見えない、今何時だ?どのくらい消えている?
ライターの火がいくつか近づいてくる。
ああ、灯りは大事だ、あれは安心の元だ。
俺はそう思った。
ゴウッと風が吹き、一吹きで消える小さな灯火。
「きゃっ!?」
「わっ!」
「……変な風ばい」
白鳥さんの手に力が籠もる。
俺は優しく握り返した。
「!」
……いま、俺はどんな顔をしているのだろう?白鳥さんは?みんなは?
そして俺達十人は闇の中で集まり、手を繋いだ。
十人の、大きな輪の出来上がりだ。
始まる合唱。
俺達は、闇の中で、歌を歌った。
次回 第三四話 非日常 訪問者 です。
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