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リリスの言葉に、ダリウスは眉間のシワを深くした。


かと思えば、大きなため息をついて「いいや、俺はソファで寝る」と譲らない。意を決した申し出だったのに、こうもあっさり拒否されるのも、リリスはなんだか悔しかった。


ダリウスが座るソファに腰かけたリリスは、「ベッドはあんなに広いんですから問題ありません!」と言い放った。すると、ダリウスの眉間のシワは一層深くなり、目つきの悪さにも拍車がかかる。


「あの王子のこともあるから、今日はもともと仮眠しか取るつもりはない」

「仮眠とはいえ、短時間だけでもベッドで眠った方が疲れは取れますと思いますが」


なかなか引き下がらないリリスに呆れたのか、ダリウスはまた大きなため息をひとつ。それからグラスをテーブルの上に置いたかと思うと、リリスの方にスッと手を伸ばしてくる。


「ダ、ダリウス様⁈」


すりと頬を撫でられたあと、その手がリリスの耳にも触れた。目を逸らさず、まっすぐに見つめてくるアッシュグレーの瞳。急に纏う雰囲気が変わったダリウスに、リリスは腰を引いた。


「逃げるなよ」


けれど、すぐさまぐいっと腰と腕を引かれて、二人の距離が縮まった。間近で見るダリウスの瞳に、自分の姿が映る。


「あ、あの……っ」


ドキドキと胸がうるさくて、たまらない。


「……そんなに俺と寝たいのか」


耳元で囁かれた言葉にハッとする。


「ね、寝たい⁉︎」

「違うのか」


あからさまなワードに顔が真っ赤になる。夫婦なのだからそういうことがあってもおかしくないとはいえ、リリスはまだ心の準備なんて1ミリもできていなかった。


(ど、どうしたらいいの⁈)


自分の発言がどれだけまずかったのか、心の中でものすごく反省したリリス。そんな妻の胸の内を察したのか、涼しい顔をしたダリウスはパッと手を離すと、リリスから距離を取った。


「俺はソファで仮眠を取る」


「いいな?」と念押しされ、リリスはイエス以外の答えを返せるわけもなく。


「は、はい。わかりました……」


さすがに、ここまでされると意識しすぎて同じベッドでは寝づらかった。リリスは「では、お言葉に甘えさせていただきます」とベッドに向かい、メインの照明の灯りを消すと、のそのそと布団の中に潜り込んだ。


「おやすみなさい、ダリウス様」


せめてものという思いで、挨拶だけ投げかける。返事はないと思っていたが、「ああ、ゆっくり休め」と返ってきた。


リリスは、すぐには眠れないだろうなと思っていた。


寝る場所は別々とはいえ、初めて夫と夜を共にする。結婚当初のとげとげしい感じは最近はなく、話す時間も以前より増えた。ダリウスとの関係は、少しずつ縮まっているようにも思うからこそ、今みたいな時間は余計に落ち着かなかった。


(それにしても今日は大変な一日だったわ……)


温かい布団の中に入ると、今日の疲れがどっと押し寄せてきて急に眠くなってきた。「眠れなかったらどうしよう」と思っていたリリスの悩みは杞憂に終わり、すぐに夢の中へと落ちていった。

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