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「リリス様が、あの騎士団長のもとへ嫁入りだなんて、嫌がらせとしか思えません!」


自室に戻ったリリスが、早速この話を侍女のルーナに伝えると、彼女は腰に手を当てプンスカと目を吊り上げた。


「ルーナ、声が大きいわよ」

「うう、申し訳ございません……」


リリスがティーカップをテーブルに置いてたしなめると、しゅんと大人しくなったルーナ。だが、その怒りはおさまらないようで、ルーナは両手に持っていたティーポットを強く握りしめた。


「ですが、あんまりじゃないですか……っ!国の英雄とはいえ、ダリウス様といえば無愛想で、女性関係も派手、酒癖と金遣いが荒いとかなんとか……って最近は悪い噂の多い方ですよ⁈ただでさえ、リリス様の母君である第一王妃がお亡くなりになられてから、リリス様の扱いがひどくなってるのに……」


ルーナが言うように、リリスの母が亡くなってからというもの、第二王妃のオフィーリアが幅を利かせ、この城内が居心地の悪いものへと変わってしまったことは否めない。国王の実の娘であるリリスの立場も追いやられ、今や城内は王妃とその娘の思うがままになってしまった。


「リリス様は立派なお方なのに……。私は、それが悔しいです」と続けた侍女に、リリスはふと笑みをこぼした。一番長い間、そばにいる侍女だ。人一倍忠誠心のあつい彼女には、リリスも甘いところがある。


「ルーナ」


そっと手を伸ばすとルーナの手を取り、「ありがとう」と微笑む。


「あなたみたいに、私のことを分かってくれる人がいれば十分よ」

「リリス様……っ!」


ルーナのウェーブがかった長い髪がふわりと弾み、大きな丸い目が煌めいた。

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