表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/90

2


「夫となる方は、どんなお方なのですか?」


そう尋ねれば、今度は隣に座る王妃の実の娘エリーゼがにっこりと笑う。


「元特務騎士団団長のダリウス・クロフォード様ですって」

「ダリウス、様……」

「あの大魔獣ガルガドスを倒した我が国の英雄ですよ?お姉様のお相手にぴったりのお方じゃありませんか」


花のような笑みを向けてリリスを祝福するエリーゼ。だが、本心では《《我が国の英雄》》が結婚相手となったことを嘲笑っているのは、リリスには容易に想像できた。


「異存ないでしょう?」


にやりと笑う王妃。きっと、この婚姻話もオフィーリアやエリーゼの策略のひとつなのだろう。リリスをこの城から追い出すために、二人が考えそうなことだ。


「出自はともかく、我が国を救ったあの者の力は、魔獣退治だけでなく、いずれ国難が訪れたときの大いなる力となるでしょう。この結婚で、その結びつきを強くしておけばブルタージュも安泰よ」


「国のため」などと、もっともらしい理由を並べたところで、別の思惑があるのは明らかだった。けれど、だからといって、リリスにはこの結婚を退けるだけの力などない。国王の(めい)とあらば、たとえ実の娘でも逆らうことはできないのだから。


リリスは最後の望みをかけ、父を見た。だが、食事に夢中の国王の瞳に娘の顔が映ることはなかった。


「……わかりました」


こうして、リリスは生まれ育った城を出て、よく知りもしない男のもとへと嫁ぐことになったのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ