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◇◇◇


「特務騎士団の解体から半年、あの戦いから、まだ1年しか経ってない。まだまだ、残された俺たちがやるべきことは山のようにある」


ダリウスはそう言ったあと、グラスに入った琥珀色を見つめた。


「……だから、なんでも利用する。結婚なんてものに興味はない。嫌悪している王家の人間との婚姻関係を結ぶことで救えるものがあるならば、俺はそれすら利用して生きていく」


真っ直ぐなダリウスの目に、クロードは顔を俯かせた。グラスに入った氷がからんと音を立てる。


「……多くの命と引き換えに生き残った俺に、やれることなんてこのくらいだ」

「それは──」


ぽつり呟かれたその言葉に、クロードは「それは違います」とはっきりと言ってやりたかった。


けれど、部隊が違ったクロードは、凄惨だったと言われるダリウスの最後の戦いをこの目で見ていない。彼の直属の部下だった精鋭たちも無惨な最期を迎え、唯一生き残ったダリウスが大魔獣を討ち取ったとしか聞いていないのだ。


そんな自分が軽はずみに、何か言葉をかけることははばかられて、いつも喉につっかえてしまう言葉を言えずにいる。あなたは幸せになっていいのだと──。


「……俺はどこまでもあなたについていきますよ」


本心は伝えられなくとも、クロードはダリウスに尽くすと決めている。少しでも気分が明るくなればと、おどけた様子で「だから、何かあればなんなりとご命令を」と恭しく胸に手を当てて一礼するクロードに、ダリウスは「そうだな」と笑う。


「なら、今夜の酒の相手を頼もうか」


今宵は長くなりそうだ、と思いながらもクロードは近くにあったボトルを手に取り「もちろんです」と応えたのだった。

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