つちなかのゆめなか
夏の日に木陰ほど優しいものはないけど
あなたほどそっけない優しさもない
木陰の土の中にはいまかいまかと
梅雨明けを待つ蝉
あなたほどの大樹のもとなら
わたしは梅雨の間でも土から出てみようかと
したりしては
騙されて雷雨にうたれたりしたらなんて
考えては眠りにつくがまたあなたの土に
還るだけだと考えてを繰返しながら
幽かな涼しいくらいの歌声が聞こえる方へ
土中の道を上へと掘って行く
羽の湿りを許さないほどの乾きの灼熱に
蝉はなんて鳴いているのか
なんて泣いているんだろうね 蝉さん
少しくらい教えてほしいよ
少しくらい賢くなってわかりたいけど
賢くなったら終わりだよと泣いているようにも
感じたんだ