ライデア神話 序章 世界の始まりと終わり
これはカルカたちのいるライデア大陸に伝わる神話です。
遠い遠い昔、この世界に命が生まれる遥か以前のこと、荒廃した大地に二柱の神が降り立ちました。
その神たちとは、命を創造し生命を育ませる”創造の神”と、全てを滅し理を循環させる”破滅の神”でした。
彼らは互いに手を取り合い、不毛の大地に新たな生命を息吹かせ、それらを律するための円環を創り上げました。次から次へと生まれては円環の中に消え、再び誕生する生命たち、その営みの美しさに二柱の神は大いに感動し喜びました。
そして神がその楽園の管理者として最後に生み出したのが、自分たちに似せて創り出した人族でした。他の生命と異なり貧弱な体に高い知能を宿した本能と知性を両立させる人族を、二柱の神はとても気に入り終始観察するようになりました。
ある時いつものように人族を観察していた創造神は、一人の人間の女性に恋をしてしました。
しかし永劫の時を生きる神にとって、人族の命はあまりに短い。彼女が消え去ることを容認できなかった創造神は、破滅神にその女性を円環の理から外してくれと嘆願します。
しかし私情で調和を乱すことを要求する創造神に対し、腹を立てた破滅神はその願いを聞き届けるどころか、創造神の愛した女性をすぐさま滅してしまいました。
怒り狂った創造神は破滅神と終わりの見えない争いを始めました。その神たちの苛烈な戦いによって、地は裂け、海は干上がり、ほとんどの生命が死に絶えました。
長い長い闘争の末、力を使い果たした創造神と破滅神はその大きな骸を大地に残しまし息絶えました。
世界が終末を迎えたかのように見えたその時、息絶えた神たちの残骸から新たな神々が誕生したのです。