⑦ 食事制限ステップ1 減らす前に置き換える 薬物並みの中毒性:現代小麦編
質問者:小麦を制限する食生活が“グルテンフリー”というのは知っていますね。
筆者:完全に小麦を食べないというのは中々難しいと思います。
しかし、主食をパン以外の物に替えるだけで十分健康状態は改善していきます。
僕は最終的に朝ごはんそのものが無くなりましたが、朝にパンを食べていたのをフルーツに置き換えただけで随分健康状態が良くなりました。
質問者:ですが、そもそもの話なんですが、どうして小麦がそんなに悪いとされているのでしょうか?
日常に定着していますからなかなかやめられないと思うのですが……。
筆者:そうでしょうね。もはや日本の文化の一つになってしまっているように思えます。
歴史を振り返ると小麦が日本人にとって当たり前になったのはGHQによる政策が主な原因になっています。
「米を食うとバカになる」と1958年、慶應大学医学部教授の林髞氏が 著書『頭脳』で発表(発行部数30万部)し、マスコミもそれに追随しました。
しかし、本稿の①でも示しました通りに、小麦よりも食物繊維中心の食生活をしていたほうが健康状態が良かったとラットでの実験結果で出ています。
GHQからすれば、日本人の健康的な肉体は脅威だったのでしょうね。日本人弱体化のために給食にパン食を取り入れ、一般的に普及させていったのです。
それと相反するようにアメリカではいち早くグルテンフリーを選択することができる食事の幅が広がっています。しかし、日本ではそれが普及していません。
質問者:しかし、小麦食と言うのは日本にはあまりありませんでしたが、他の国では古代からありましたよね?
昔から体に悪い物だったのでしょうか?
筆者:それも、とてもいい質問ですね。実を言うと古代から西洋で食べられていた小麦と現代の小麦と言うのは全く異なる物のようなのです。
いわゆる、最近食べられている小麦である「パン小麦」と言う種類は、スペルト小麦と野生のイネ科植物の遺伝子が融合したもので、本来は自然界に存在しないものでした。
この品種改良は大きく育ちやすく大量生産や保存に適したものになっています。
そして、こうした改良は過去の一世紀に急速に加速しています。
健康に良いとされているグルテンが少ない硬質の小麦であるデュラム小麦やかつての生産方法で生産されているスペルト小麦と言う種類もあるようです。
しかし、基本的に日本の市場で「小麦」と言われているものはこの「パン小麦」と言って良いんですね。
このパン小麦にはグルテンが大量に含まれており人体に悪影響を及ぼします。
質問者:なるほど……かつてとは生産方法が異なっているために健康に悪い種類になってしまったというわけなんですね?
筆者:まぁ、その分大量生産できるようになりましたから、一概に悪い事ばかりでは無いですがね。
ですが、健康を重視し、選択できるのであれば敢えて現代小麦が含まれた食品を選ぶ必要性は無いように感じます。
質問者:どうして、小麦に含まれているグルテンは悪者扱いされているのでしょうか?
筆者:グルテンは主にアレルギー症状に近いモノを引き起こします。
学術的な言葉を使わせていただくとグルテン不耐症と呼ばれるモノです。
グルテン不耐症の主な症状としては、
1 腹痛、下痢、便秘
2 逆流性食道炎、腸の不調、頭痛(偏頭痛含む)
3 めまい、なんとなく頭がすっきりしない
4 貧血、むくみ
5 関節の炎症、じんましん、毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん/二の腕や背中などにできるブツブツ)。
6 疲労感、倦怠感、うつ症状、低血糖
7 ビタミン・ミネラル欠乏症、
など多岐にわたります。
その他、牛乳などの乳製品を摂取するとお腹がゴロゴロする乳糖不耐症や、そんなに量を食べていないのに太ったり、逆に食べているのに痩せたりする症状も、グルテン不耐症の可能性があります。
人により程度もさまざまで、軽い症状のために、自覚している人が少ないのが現状です。
質問者:グルテンアレルギーのような状態になっているのにどうして人間は欲してしまうのでしょうか……。
筆者:それもとても良い質問です。
現代の小麦は消化されるとポリペプチド混合物(外因性モルヒネ様化合物・略してエクソルフィン)に分解されます。
エクソルフィンは、血液脳関門という血液と脳の間の物質交換を選択的に制限する仕組み。を通過する性質を持っています。
脳に入ったエクソルフィンは、脳のモルヒネ受容体と結びつきます。
これにより多幸感・依存症が生じ、異常な食欲が引き起こされるのです。
よって、小麦断ちするとエクソルフィンが引き金となる多幸感が得られない為、食欲が大幅に減ります。
まぁ、エクソルフィンの正式名称である“外因性モルヒネ様化合物”というのが現す通り、モルヒネのような中毒症状を及ぼすわけなんですね。
そのために薬物のように体を破壊しながらも中毒症状を引き起こしてしまうのです。
質問者:な、なるほど……ですから小麦やグルテンと言うのが危険視されているのですね……。
筆者:また、グルテンは血糖値を急上昇させてしまう悪い効果もあるんですね。
同じ量の小麦を食べると、先述の砂糖を食べるよりも血糖値を上昇させてしまうと言ったトロント大学の研究もあるようです。
血糖値が急上昇してしまうと、その反動でしばらくすると低血糖に陥りやすく、眠気やだるさ、集中力の低下などの原因になります。
また、グルテンを構成する主なたんぱく質であるグリアジンには、アミノ酸配列にグルタミンとプロリンが多く、かつ特徴的な箇所があり、消化酵素での分解を受けにくい構造をしています。
というのも、アミノ酸にまで分解されず、部分的に分解されたペプチドの状態で、小腸まで到達します。
ペプチドは小腸で免疫反応を引き起こしたり、体内に吸収されて炎症反応を引き起こすことがあります。なお消化酵素の量や分解能力には個人差があります。そのため消化酵素の分泌量が少ない人や、その能力が低い人は、グルテンの影響を受けやすくなります。
グルテンは多数のたんぱく質の集合体ですが、この中にはアレルギー反応や炎症反応を起こすものがあります。ただ食べものに含まれているたんぱく質は、通常消化酵素で分解されるため、実際にアレルギー反応や炎症反応を引き起こしているのは、たんぱく質が部分的に分解されてできたペプチドと考えられています。
消化能力が高い人に関しては大丈夫かもしれませんが、日本人には昔から小麦を食べる習慣が無かったことから、ぺプチドを消化する能力が低い方が多いとされています。
質問者:な、なるほど……日本人の体にはことごとく合わない可能性が高いと言うことなんですね……。
筆者:ええ、ですから海外で食べられているから大丈夫と言った理論に関しては、
現代の小麦を使っていないか、ペプチドへの消化能力が日本人より優れていると言った可能性が高いのであまり有効な理論とは僕は少なくとも考えません。
日本人はより気を使ってグルテンや小麦を避けていく必要があるのです。パンや麺類、菓子類などが代表的なモノですね。
代替としては米粉や大豆粉を使った製品であれば、似たような食品の味として楽しめると思います。
――ただ、値段としては普通の小麦で作った製品の2,3倍の価格になってしまっていることが多いので全てを無くしていくと言ことは難しいように思えます。
“最初から無かった”と思い込める方はなるべく食べないほうが良いでしょう。
質問者:た、確かに“初めから無かった”のでしたら選択肢から外れますからね……。
かなり大変だとは思いますけど……。
筆者:次に、成人したらほとんど誰もが飲むであろうお酒について話していこうと思います。