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007 フィアナと同棲生活③


「頂きます」

「いただきます!」


 さっきのやりとりも食器並べたり、配膳したりするとお互いに落ち着いてくる。

 むし返す話題でもないのでスルーすることにしよう。

 フィアナはもう頭を撫でろとは言わんだろうし。


「美味しい! ハンバーグ、すごく美味しいです」

「そうか。そりゃ良かった」

「レイジはいいお嫁さんになれますね!」


 ネタなのかガチなのか、よく分からない褒め方をする。

 今の時代そのフレーズはあんまり宜しくないぞ。

 でもまぁ美味くできてよかった。

 味噌汁の味も申し分ない。


「ご飯がすごく進みます」

「……」

「どうしました?」


「いや、日本人の感覚だとフィアナのような欧米系が箸を使って食べてんのが不思議だと思ったんだよ」

「そうは言っても……サルヴェリアは仕方ないでしょう。《()()()()》によって日本文化が浸透しちゃいましたし」


 イチロー。

 もちろん野球のではない。


 戦後少し経った後、サルヴェリア王国の中で大きな内乱があったそうだ。

 大きく荒れたこの国を救ったのが日本人の英雄……佐藤一郎(さとういちろう)

 この国の歴史の教科書に載るくらいの有名人らしく、この男の影響で日本文化がサルヴェリア中に広がり、主食は米になり、和食が広まることになった。

 

 この男の影響はそれだけじゃないらしいが……また別途だな。


 そんなわけでフィアナが器用に箸を使ってメシを食うのはおかしな光景ではない。

 見慣れない俺が悪いのだろう。


 ただ1つ気になることがまた増える。


「う~ん、この漬物も美味しい!」


 一緒に出してやったきゅうりの漬け物と飯を食べ続けていた。


「おかわりおかわり」


 席から立ち上がって炊飯器の方へ行く。

 そう、このやりとりをすでに5回は繰り返しているのだ。


 山盛りのご飯が積まれた茶碗を手にする。


「あ」


 俺がフィアナのご飯を見ていたからか、フィアナも何を気にしているのか気づいたようだ。


「これ以上食べたら……私が食いしん坊だってことがバレちゃう。腹八分目にしないとですね」

「もう遅せぇよ!」


 そういうのは3杯目超えたタイミングくらいの話じゃなかろうか。


「ほんと良く食うな。あれだけあったご飯が全て消化しそうだぞ」

「い、一応気にして少なめにはしたんですよ?」

「ウソつけよ! ってまだ余裕で食べられそうだろ」

「……」


 フィアナが気まずそうに俺を見る。


「食べる女の子は嫌です?」


 その問いは愚問だ。


「食えるってのは才能なんだよ。その才能を台無しすることはすんな。ま、俺の方が食えるけどな」

「ふふっ、そのちょっとひねくれた感じ。出会った頃を思い出しますね」


「そんなひねくれたか?」

「負けず嫌いだったかもしれないですね」


「まぁいいや。食うのはいいけど、運動はそれ以上にしろよ。太ってもしらねぇぞ」

「あ、私……太らない体質なので成長以外で体重が増えたことないです」


 あれだけ食って太らないっておかしいだろ。

 あれか……。その15歳とは思えない胸にいってるのか。日本人と違って欧米系はやっぱすごいな。


 まぁそれでもなければ。


「大量の便に出してんのか」

「むほっ!」

「あ、悪い」


 食事中に出してはいい話題じゃなかった。

 話題を変えるためにテレビでも付けることにしよう。

 リモコンを操作してテレビの電源をONにした。


『今日はサルヴェリアが誇る美しいものについて紹介させて頂きます』


 サルヴェリアの放送局。

 日本の数分の一しか国土も人口も少ないこの国では当然局数も多くない。

 今の時代、ネットを使えば日本の番組だって見れるし困ることはないんだが……違う国の番組にはそこまで興味が沸かないな。

 慣れてはいかないといけないんだろうけど。


『セルヴィーダ地方にあるハルヴェーデ国立公園、サルヴェリアといえばここでしょう』


「ハルヴェーデって世界遺産に設定されてるやつだっけ」

「そうですよ。サルヴェリアに旅行に来るならまずここですよね」


「ふ~ん、フィアナは行ったことがあるのか?」

「ええ、学園の小等部の修学旅行がここだったので……。もし行くなら私が案内してあげますね」


「おう、頼むわ」


 せっかくだし、サルヴェリアもしっかり観光していきたいな。

 確かイチロー効果でこの国は温泉も有名だったし、冬の時期に行くのも悪くない。


 他に王都の大聖堂や別の地方の調度品など美しいものがひたすら紹介されていた。


 そして最後にそれは来た。


『やっぱり美しいと言えば先ほどまで上げたものですけど、やっぱりサルヴェリアが誇る最高の美女も我が国の誇りですよね』


 見ている番組の出演者達が騒いだ。


『そうですね。やっぱり去年あった()()()()()()()の騒ぎが大きいですよね』


 がたっと急にフィアナが立ち上がる。


「ん? どうした」

「あ、私見たい番組がありました!」


 フィアナがテレビのリモコンに手を伸ばす。

 露骨でその手は震えていた。そのため掴んだはずのリモコンが滑って明後日の方へといく。


 そしてその名は語られた。


「昨年の【()()()()()()()()()()1()0()0()()】の1位に選出されたオルグレイス侯爵家の令嬢、フィアナ・オルグレイスさんの件は記憶に新しいでしょう」


「あ……」


「え、フィアナ? 世界一って……」


 フィアナは少し悲しげな顔をした。

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