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004 2人きり?②

「そうよ。将来結婚するかもしれないんだからちょうどいいじゃない」

「何かあったらどうするんだよ」

「そのためにレイジがいるんでしょ」

「そういう意味じゃない!」


 男手という意味では俺以上の存在なんて親父ぐらいなものだ。

 正直母さんとフィアナで2人暮らしをさせるよりよっぽど俺がいた方が安心だ。

 だけど心配してるのはそこじゃない。


「もちろん連絡をくれればすぐに駆けつけるわ。それに学校が始まったら寮生活なのだし、問題ないでしょ?」

「そのなんつーか……」

「もう! 幼い頃は一緒にお風呂入ったり、一緒に寝たりしていたでしょ。それと同じことをすればいいのよ」

「15歳になった今にできるわけねぇだろ!」


 母さんが運転席に入り、窓を開けて俺の肩に手を置く。


「避妊具は家にいっぱいあるから我慢できなくなったらちゃんと使いなさいね。お母さんは応援してるから」


 あきれ果て何も言えない息子(おれ)を放って母さんは車を走らせてしまった。


「なんつー親だ」


 父親も父親だが、母親も母親だよな……。


「レイジ……」


 旅行鞄を持ったフィアナが近づく。


「ふつつかものですが宜しくお願いします」


 意味分かって言ってるんだろうか。そんな日本風な言葉で一礼してくるとは……。

 フィアナは俺と2人暮らしであることを事前に聞いていたようで特に驚いた様子はなかった。

 この女の子と2人暮らし。……同居、いや同棲レベルだろ。

 俺はやっていけるんだろうか。



 ◇◇◇



 母さんからラインで後で家のことについてメッセージを送るって連絡が来た。

 俺はこの家で一人で暮らすつもりだったんだが……まさかこんなことになるなんて。

 フィアナと一緒に家の中に入る。少しレイアウトは変わっているが内装は10年前とそう変わらなかった。


「フィアナはこの家に住んだことがあるのか?」

「はい、何度かこの家で過ごさせてもらったことがあります。部屋も与えてくださってありがたいです」


「そうか。なら家の説明は不要か。しかし……あんたもいろいろ事情がありそうだな」

「ええ。レイジとお別れして10年間。たくさんのことがありましたから」


 これからそれを聞いていかないといけないな。

 フィアナがなぜこの家に居候をするハメになったか……全部聞いておく必要がある。


 だが……その前に。


「ちょっと1人にさせてくれ。晩メシまで時間もあるし、荷ほどきをしたい」

「あ、お手伝いしますよ。私は大きな荷物がないので」

「いらない。男の荷物だし、見られたくないものもある」


「あ……そ、そういうことですか」


 フィアナはぽっと頬を赤らめる。


「おい、何か勘違いしてないか」

「私は理解ある女なので、えっちなDVDとか持ってても気にしませんからーーーっ!」

「おい、待て!」


 フィアナはばっと2階に上がってしまった。


 何か変な誤解を招く言動だったかもしれん。

 そもそも俺、15歳だし持ってるわけないだろ。

 ま、スマホにいくつか動画はあるけど。

 ……しかしあいつ脊髄反射でエロと思いやがったな。意外に耳年増なのかもしれない。


 俺の部屋は2階にあるたくさんの部屋の中の1つ。

 5歳までに使っていた部屋でもある。


 部屋の中に入ると必要最低限のものが備えられていた。

 入学祝いでベッドとか机とか揃えておくって言ってくれてたし、本当にありがたい。


「はぁ」


 正直な所……荷ほどきで見られたらまずいもの何て一つもない。

 フィアナを遠ざけた理由はフィアナと少し離れたかったからだ。


「あいつ綺麗になりすぎだろ……」


 5歳の時の俺はフィアナに1ミリも恋愛感情は持っていなかったと思う。

 なのに10年経った今はフィアナの容姿に目が離せなくなっている。

 くっそ……。女に惹かれるなんてありえないって思ってたのに。


 パチンと自分の頬を叩いてみる。


「修行が足りてねぇ。女にうつつを抜かしてる暇なんてねぇんだよ」


 結婚を覚えてないって言い張った以上、それを貫いてみせる。

 あいつはただの幼馴染で同居人なだけだ。


「ふわぁ……」


 なんか疲れたな。そういや日本との時差は3時間。

 飛行機に乗ってた疲れで少し眠い。荷ほどきは終わってないが仮眠でも取るか。

 ベッドに寝転んで目を瞑る。疲れていたからか……すぐに意識が遠くなった。


 ……。



 ……。



 ふとした気配に意識を少しずつ取り戻していく。

 気持ちが良い。日本もサルヴェリアも気候としてはそう変わらない。

 王都サルヴェリアの気候は東京とほぼ一緒のため4月前だと薄着では寒い時期だ。


 しかし……気持ちが良い。

 ふとんのせいか? それにしても心地良い。

 背中、足、腕……違う。頭……そう、頭だ。


 撫でられてるような感覚。

 意識を完全に取り戻した俺は目を開く。

 そこには俺の頭を撫でる、楽しそうな顔をしたフィアナの姿があった。

 手足を仰向けで寝ている俺を前かがみで覆うような体勢となっている。


「あんた何やってんだ」

「ふえ?」


 ちょっとでかいのが揺れてんぞ。

 目のやり場に困るので控えてもらえませんかねぇ……。


 はぁ……。

「楽しく読んでる」「先が気になる」と思って頂けたら今後の活動の励みや執筆モチベーションとなりますのでブックマーク登録を頂けると嬉しいです。


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