卒業式・死神・激しい恩返し
高校2年の冬、僕は自分の手首を切った。
放課後のまだ暗くないうちの校舎裏、地面に横たわる1人の少年の周りに5人の少年が立っていた。
「もうやめてください」
宮田アキラは涙を流しながら叫んだ。
「何をやめるんだよ?これをか?これはプレゼントだぞ」
アキラを囲む少年の1人、柊木シュウはそう言いながらタバコの吸い殻の入ったペットボトルをアキラの口に近づける。 いじめだ。
アキラの必死な抵抗も虚しく他の4人に抑えられた体は言うことを聞かずペットボトルに入れられたその液体はアキラの喉を伝って落ちていった。
「ゲホッゲホッ」「うわっきったねぇ〜」「ゲロアキラちゃんと掃除しとけよ!」
吸い殻入りの特製ドリンクを吐いたアキラを見た5人は満足したようで、アキラに後片付けを命じ帰っていった。
自分の吐瀉物を夕暮れ時1人片付ける惨めさに悔しさに拳を握るアキラの手首には治ってもなお痛々しさを見せる一本の傷跡が自らを主張していた。
いじめが始まったのは高校2年クラス替えの春、アキラとシュウが同じクラスになった時からだった。些細なことが原因なのだろうか、何が原因で始まったのか今となっては当事者含め皆がわからない。もともと明るい性格だったアキラは初めはなにくそと堪えていたが、2年の冬何かがプツリと切れた。その晩、両親が寝静まった後アキラはカミソリを片手に洗面台の前に立っていた。覚悟はできていたし恐怖もなかったあの時切れた何かのように手首の静脈を切ればいいだけなのだ。
アキラはカミソリの刃を手首に押し当てそのまま引いた。傷は浅かった。血は出たが程なくして止まった。跡だけが残る。死ぬ覚悟はできたと思っていたがリストカットを選んだ時点で死ぬことはできなかったのだろう。死ぬことに対する恐怖は本当になかった。しかし死をもってすらもシュウから逃れられない気がしたのだ。シュウは死すらも選ばせてくれない。アキラにとってシュウは生死すら握った死神なのだった。
自分の吐瀉物の処理が終わり、1人家までの道を歩いている時、アキラは明日から夏休みだと言うことを思い出した。一ヶ月という短い間だが学校に行かなくて良い。シュウに会わなくて良いというのは天国のように感じた。
その日、アキラはひさしぶりに湯船に浸かった。ひさしぶりにゆっくりご飯を食べた。いつもよりも丁寧に日記を書いた。リビングの両親に「おやすみ」と伝え、自室で首を吊った。天国には死神はいないのだ。
旅立ちの日、卒業式 大学受験を終えたものも終えてないものもその日は皆が仲間との別れを惜しみ、これからの未来に希望を抱いていた。死んだ仲間がいたことなど誰も覚えていない。 校長が一人一人の卒業生の名前を呼びステージの上で卒業証書を授与する。ついに彼の番が来た。
「3年D組。柊木シュウくん。」 「ハイっ!」
爽やかな返事で席から立ち上がり自信満々に校長の元へ向かう。 その時、突如として保護者席から女が飛び出した。あまりの突然さにシュウの元に走る女を誰も止めることができなかった。シュウの目の前にたどり着いた女は隠し持っていた包丁を何度も何度も突き刺した。
裁判長が聞く。
「あなたの息子さんの日記を読みました。あなたはいじめを苦にし亡くなった息子さんの復讐のために被害者を殺害したのですね?」
女は笑顔で首を振った。
「いいえ、違いますよ。裁判長さん。アキラはいじめになんてあっていませんでしたの。だって日記にはプレゼントを貰ったとありましたもの。だから恩返し致しましたの。でも、少し激しい恩返しだったかもしれませんわね。」
うーん。書いた後に読んでみたらわけわからないところが多いかも。
反省点
・場面展開が多い
・鉤括弧の使い方が下手くそ
皆さんはキャラクターの名前を考えるときはどのようにして考えてますか?