6僕らの日常
「パタンッ」
と上履きを地面り揃えて放り投げた。
そして僕は外履きの靴を下駄箱にしまって、上履きを履く。
紗耶香は丁寧に腰を下ろして上履きを置いてから同じようにして履いていた。
揃って教室の方へと向かう。
僕らが教室に入ると、「よう!お二人さんっ!」と声がかかってきたと同時に、僕の背中に軽く衝撃が走る。
「ああ、おはよう、英司」
「エイくん、おはよう」
元気な声と僕の背中を叩いてきた奴は笑顔でそこに立っている。
そうこいつの名前は、佐々木⦅ささき⦆ 英司⦅えいじ⦆だ。
英司とは中学校の時に同じクラスになって、僕と席が隣なのをきっかけに仲良くなったんだ。
それからは僕と紗耶香と英司の3人でよく話すようになって、今ではよく英司が僕の家に来てはテレビゲームを3人でしたり、英司が持ってきた漫画を読んだりだとか、タイミングが合えば紗耶香が作ってくれた夕飯を三人で囲んで食べることもしばしばあるもんだ。
まあ、とにかく英司とはそれなりの付き合いにもなってとても仲がいい親友なんだ。
「ほんと、お前ら仲いいよな〜」
と英司はいつものような声かけをしてくる。
「なかがいいのは当たり前だよ?エイくん、それゆったらエイくんもハルくんとすごく仲いいんだからね?」
そうか〜?なんて呟く英司。
「まあ、なんだかんだいつも3人で仲良くつるんでいることだし、いいんじゃないかな」
と僕もその会話に割り込んでいく。
そんなことを言いつつも僕たちはそれぞれ席に戻ってカバンを置いて先に座る。
席はくじ引きで運良く3人が固まって座っている。
僕たちの席の配置は教室の一番左後ろで、僕は窓側の左列の一番後ろで、紗耶香は僕の隣の席、僕の前には英司がいる構図になっている。
やっぱり最後尾の窓側は高校生にとって最高の席であることは言うまでもなく、
実際、日当たりもよくて春のポカポカとした日差しは、授業中の居眠りに最高でもある。
でも、居眠りをしすぎると横から紗耶香がトントンと背中を叩いては起こしてくることもよくある。
「今日2人は図書委員の仕事ないんだよな?」
と英司が後ろを向いて僕と紗耶香の方に顔を向けながら聞いてくる。
「うん、特に頼まれなければ何もないと思うよ」
そうだよなっ?という感じで相槌を求めるように僕は紗耶香の方を一度見てから、また英司の方に顔を向ける。
「それなら、今日の帰りにハルんち寄ってゲームするわ」
「おっけー」
僕は英司に頷く。
「俺一度家戻ってから、ゲームカッセト持ってくるわ」
「うん、新作の格ゲーでしょ?」
と僕は英司に期待を込めた顔で聞いてみる。
「そうそう、もちろん紗耶香もやるよな?」
「やりたいな〜」
なんて呑気に英司に返す紗耶香だが、実はゲームになるとそこそこ強くて、僕がこのメンツの中で一番ビリで、たぶんそれなりにやっているエイジと張り合えるのは紗耶香くらいだろう。
いつも通りゲームの話なんかで盛り上がっていると担任の先生がHRのため、教室に入ってきた。
それを把握した僕たちは姿勢を前に戻して、号令に合わせて席を立ち挨拶をした。
それからはいつも通りに僕たちは授業を受けて、今4限のチャイムが鳴って昼休みへと入ったところだ。
僕たち3人は学食で毎日を過ごしている。
少し授業が詰まって授業終わりの号令の合図も遅れる、号令を済ませた瞬間僕たちは3人は足早に学食へと向かう。
「早く行かねえと混んできちまうぞ」
英司がが急かすように声を上げた。
「そうだな」
「うん、少し早めに歩こう」
僕と紗耶香も少し焦る気持ちがこもったような返事になってしまう。
お察しの通り、学食は戦争のようなもので、後の方になればせっかくの昼休みも台無しになってしまうから、僕たちが焦るのも無理ないわけであるんだ。
そして、学食は一階にあり、僕たち二年生は3階に教室があるので3年と1年の生徒たちに圧倒的遅れをとってしまうし、授業も遅れた影響で少し廊下が混み始めていた。
すこし廊下の人を縫うようにして足早に歩く。
僕が後ろを向くと紗耶香が少し人混みにつっかえていて若干だが遅れていた。
前にいる英司に遅れを取るわけには行かないので、
僕はすこし戻り、紗耶香の手を取って英字を追いかけるようにして、紗耶香の女子特有の細く、華奢で綺麗な手を引っ張って歩き出す。
「ハ、ハルくん、ありがとう」
と人混みをかき分けて歩き出したところで後ろから顔を少し下に向けて、小さくお礼を言う。
僕はうん、とうなずきつつも前を向いて歩く。
学食に少し遅れて着くと、ちょうど英司が並び始めた食券売り場の列に一緒になって並ぶ。
「2人ともちょっと遅かったな、なんとか間に合ったからよかったわ」
と僕たちのやや中央下向きに目を向けながら英字が言ってくる。
僕と紗耶香はその英司の視線を追うようにして目を向けると、僕たちが繋いでいることに僕たちは気づく。
僕が紗耶香の方へと視線を向けると、紗耶香も少し赤く照れた顔で顔を向けてきた。
「ごめん、紗耶香今離すから」
あっ、と紗耶香から声が聞こえるのと同時に僕は紗耶香から手を離す。
紗耶香方を見ればまだ少し照れた顔と、残念そうな顔を向けられていた。
「2人ともほんとに仲いいよな〜」
とニヤニヤした顔を英司が向けてくる。
僕はどうすることもできないので無視をすることにした。
「ハ、ハルくん、ありがとね」
と少し嬉しそうに紗耶香がお礼を言ってきたので、
おう、といってうなずきつつ券売機の順番が来たので英司の次に僕は券売機に札を入れる。
そのまま紗耶香とそれぞれ食べるものを選んで食券を買い、食堂のおばちゃんたちから食券と控きかえに皿を受け取り空いている僕たちは席についた。
「いただきます」と3人揃って食べ始める。
チャイムがなる。
今6限の小川先生の授業が終わった。
その直後小川先生に少し呼ばれて、昨日の資料室から借りてきた資料が今の時間で使って不要になったとのことで、資料室にその資料を戻してくるように言われた。
小川先生から受けとった資料を持って自分の席へと戻りカバンにしまう。
それからHRが終わってすぐ隣の席に座っていた紗耶香から
「ハルくん、帰ろう?」
と一緒に帰るよう促される。
「ちょっと小川先生に頼まれて資料室に資料を戻してこなくちゃいけないんだ、だから先に帰ってていいよ」
わかったと一言交わして紗耶香が教室から出ていく。
「英司は帰ってゲーム取ってくるんだよな?」
「おう、取ってからハルの家行くから」
おっけー、とこちらも軽く会話を交わしてから英司も教室から出ていく。
そうして僕1人残ったので僕も早く資料室に行って戻してこようと軽く決意して、少し早歩きで教室を出て行く。
学校生活を頑張って描いてみました。