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階段のせせらぎ  作者: ゆー
4/9

3カレーライス

屋上の後の続きです


「ハルくん今夜はカレーでいいかな~」

と紗耶香は言ってきた。


「ああ、うん、それでいいけど食材かわなきゃだよな?」と僕は紗耶香に聞いてみる。


そう、今放課後の屋上から出た僕たちは下駄箱で靴を履き替え学校を出てから帰路の途中にいるところだった。


だから今寄り道して買い物をこなすにはちょうどよかったのだ。


「そうだね~食材足りないだろうから買っておこうかな」

そういう紗耶香に対して僕はうなずく。


そうして商店街のほうへと方向転換する僕たち。


商店街は唯一僕らの街で食材が手に入る場所であり、僕らが住んでいる住宅街とは方向が逆なのだ。


道を歩いているとまだ家の前の塀の上でぐったりと夕日を浴びながら目をつぶっている猫もちらほらいる。


「さっさと買い物終わらせるか」

と僕は少し気合の入った声でいうと


紗耶香は「春とはいえ日が沈むと寒くなってくるからね、早く買い物を済ませちゃおうね、ハルくん」と返してきた。


僕はちょっと引っかかった物言いで

は寒いもんな、早いに限るよな」と言った。


そうすると紗耶香は少し考えた表情になり、突然はっとした顔で両手を胸の前でふって


「ち、違うよハルくんが冷たい人とかじゃなくって、が冷たいんであって、あの、その、うぅ~」


と紗耶香は必死に弁解しているがどうやら言葉に詰まったらしい。


「春はあったかくて、風も心地よくていいよな~」

と僕なりの助け舟を出してやると、


「そ、そうだよハルくんはすごくあったかくて優しいもん、だから、えっと~その~」


とまた紗耶香が言葉に詰まってしまう。


というか当事者の僕としてはすごく恥ずかしくなってきてしまった。


だから僕は

「早くあったかいカレー食べよう」と言ってやった。


「うん、そうだね、早く買い物しに行こう!」

といって先早に紗耶香は歩き出す。


「ハルくん遅いよ~」


とちょっと困ったような物足りないような何とも言えない表情をした紗耶香がこちらに体を翻して言ってくる。


「はいはい今行くよ、転ばないように気を付けてな~」というと。


「そんな転ぶわけないじゃん」と納得いかないような声をささやきながら紗耶香は前を向いて歩いていた。


そんな紗耶香を目にして僕も顔をほころばせながら追いかけた。


時刻はただいま午後7時、日も沈んだ今、あれからなんだかんだ食材を商店街で買ってきた僕たちは今、僕の家でカレーを作っている真っ最中だ。


「ハルくんボウル取って~」


と紗耶香に言われる前にキッチンの下からボウルを取り出しておく。


「さんきゅ~ハルくん」


と爽快な動きで包丁で刻んだ食材たちをボウルの中に入れる。

「鍋に火を入れて~油入れて、炒めよう~」なんていいながらテキパキとカレーを作る紗耶香を見ていると。


「ハルくん、お皿だしておいて」わかった、と言いながら言われたとおりに皿を出しておく。


後は紗耶香に任せておこう、僕はそう考えながら紗耶香に適当に声をかけてからリビングのソファーに座って、テレビを見ることにした。


しばらくすると、鍋を持った紗耶香がソファーの前にあるテーブルに鍋敷きを敷いて鍋を置いた。


蓋を開くととても美味しそうなカレーが見えている、よく見れば肉の油が浮いてきていてカレーが輝いていたのだ。


「おいしそうだな」と僕は思わず言葉が出る。


「ハルくん、早く食べようよ、作ってたらおなかすいてきちゃった。」


料理人はよくもまあ作りながら腹の虫を抑えることができるのだろうかと、疑問を持ちつつ紗耶香がよそってくれたカレーを食べる。 


「うん、おいしいよ」と僕は言うと、


「ほんと!?よかった~」と安心しきったようにいる紗耶香がいる。


そんなに紗耶香が料理でミスったとこ見たことないんだよなと思いつつ


「紗耶香も食べたら?おいしいよ」と嬉しそうなに顔を綻ばせている紗耶香に僕は促すと、うなずいて紗耶香も食べ始める。


おいしそうに食べている紗耶香はとても微笑ましかった。

最後までお読みいただきありがとうございます!

私はこの話を書いていてカレーライス食べたくなってしまいました。

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