【第8話】王家の墓場①
道端の草むらがなくなり、地面には石ころが転がり荒れた大地と変わっていった。道の両脇には古い柵が延々と続いていた。広大な荒れ地の中に墓場が見えてきた。
「あそこが……王家の墓場ですね」
「かなり広そうだな。今のところ怪しい影は無いな」
何もありませんようにと思いながら通り過ぎていく。
「ん?行き止まり?」
「もしかしてこの墓場を通り抜けるしか……ないみたいですね」
「本当かよ?……とんだ肝試しだぜ」
おそるおそる王家の墓場に足を踏み入れる。すごい数の墓標だ。王家に仕える人々、みんながここに埋葬されているのかな。今までの荒れた大地と違って、心なしか地面がしっとりと湿っている気がする。ランタンの明かりだけを頼りに、俺たちは盾を構えながらゆっくりと進んでいく。おっかない墓地のせいか、きっと心だけは先走りしているのだろう。本当は目をつぶって駆け抜けたいところだが、それでは敵がいた場合に思うつぼだからな。
「なんだよ、シュガー。しっかり前を見ていろよ」
「前見てるわよ。クリスこそさっきからどうしたのよ。何度も肩たたいてきて。もしかして怖いの?」
え……?肩?
「肩なんて叩いてないぜ……」
「「まさか!!」」
二人は同時に振り返った!
グサッ!グサッ!俺たちは肩を切りつけられたが、一瞬早く気づいたことにより深手にはならなかった。
「いつの間に……」
黒いローブを纏った半透明の亡霊が鎌を持って、背後から襲い掛かってきていた!俺はすぐさまロングソードで切りかかった。しかし、俺の攻撃は亡霊をすり抜けるだけだった。俺は大きくバランスを崩し、亡霊の追い打ちを正面から食らった。
「攻撃が……効かない」
亡霊はシュガーに標的を替えて鎌を振りぬいた。シュガーは盾を両手持ちして防御に徹したが、鎌までも盾をすり抜け、攻撃を受けてしまった。
「なんてこった。こっちの攻撃は効かないのに、相手の鎌はすり抜けて攻撃可能だと!?」
墓標から一人、また一人と亡霊が出現してきた。まずい。逃げるか?いや、この負傷では逃げ切ることはできない。何とかしなければ。
「これはきっと……ネクロマンサーの仕業です。本体を探さなくては!」
ネクロマンサー。聞いたことがある。たしか死者や霊を操る屍術師のことか。ネクロマンサー本体を倒せば、この亡霊たちも動かなくなるはず。
「シュガー!手分けして探そう!右半分は俺、左半分はシュガー、君が探すんだ!」
「わかったわ!急ぎましょう!」
俺は亡霊たちの攻撃をなんとかかわしながら、王家の墓地の右半分にある墓標の影にネクロマンサーが潜んでいないか探し回った。いったいいくつ墓標があるんだ。居ない。居ない。……居ない!その間にもかすり傷とはいえ少しずつ亡霊の攻撃を受け、確実に体力を奪われていく。シュガーは大丈夫か?確認している余裕がない。
「ん?あの建物はなんだ?」