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【第3話】宇宙からの侵略者

俺たちは酒場を後にして騎士の宿舎への帰路についていた。細く暗い路地裏を歩いていると、遥か彼方に佇む異国の王城が見える。月光が照らし蒼白く煌めくその美しさは、羨望や嫉妬をも浄化させんとするほどの高嶺だった。寒くて白くなった俺の吐息が輝く王城と重なり、この暗い路地裏とのコントラストをボカしていった。


「あれが月明りの国の……王城か。美しいな」

「クリス。それはお互い様さ。あっちから見たらこの太陽の王国アルティナも、燃えるように燦燦と輝く美しい国さ」


ふと我にかえる。星が輝き月が照らす夜空に何か巨大な穴が開いた!強烈な漆黒の闇とともに閃光が走った。


「敵襲だー!敵襲だー!騎士たちは全員配置につけ!戦闘準備だ!」

「民たちは避難しろ!」


俺はカイトシールドを構えて、背中のロングソードを引き抜いた。アントニーも既にレイピアを構えている。


「王城への大階段だ。戦闘の陣形につこう」


アントニーはそう言うと、俺と自分に体を透明化する魔法をかけて王城への大階段へと駆け出した。俺も背後を警戒しつつアントニーの後を追った。


「こっちだ!ここから飛び降りるぞ!近道だ!」

「冗談きついぜ!こんな高いところから飛び降りちゃあひとたまりもないぜ!一瞬でぺちゃんこよ!」

「大丈夫だよ。心配するな」


アントニーはそう言うと俺の背中をポンと押して飛び降りた。足には靴のような形の青い魔法がかけられていた。


「そうか。落下制御か。便利な魔法だ」


家屋の屋根に着地すると靴のような魔法は落下の衝撃をすべて吸収して消滅した。


「ここが太陽の王国アルティナのメインストリート。王城への大階段が続くランタンストリートだ」


王城への道は石畳になっていて緩やかな上り坂となっている。道の両脇には等間隔でランタンが設置されており、ランタンには淡く光る明かりが灯されている。俺たちは王城への上り階段の中腹にたどり着くと、坂の下の方から敵が攻めてきているのが確認できた。漆黒の闇を纏った騎士たちが攻めてきていた。


「さすがは太陽の王国。陣形を作るのがはやい」


アントニーは周囲を確認してそう言った。俺も味方の陣形を確認した。既に番兵たちや到着の早い太陽の王国の騎士たちが陣形を築いていた。弓兵たちは石階段の両脇にある鉄塔に上り、敵の群衆めがけて一斉に矢を放っている。放たれた矢には、奇跡による太陽の攻撃力が付与されており、闇騎士たちを貫いていく。


一方、闇騎士たちと最前線で交戦しているのはロングソードとカイトシールドを装備した下級騎士たちであり、敵の侵略を食い止めようと応戦していた。そのすぐ後ろには、クレイモアを持つ上級騎士たちが控えており、彼らの奇跡は太陽の光をクレイモアに付与して攻撃力を高めている。


「あの武器に纏った、太陽の輝きのようなものが……奇跡?」

「そうだ。太陽こそ生命の源始であり、太陽への深い信仰心はその燃えるような太陽のエネルギーを操ることができる。伝承によると、どうやら太陽への敬虔な祈りからは大病や致命傷まで癒してしまうという。人々はそれを奇跡と、そう呼んだんだ」


アントニーは感心したように頷くと、敵の群衆に向かって駆け出した。俺は走りながらロングソードに松脂を塗りたくって炎を灯し、闇騎士に切りかかった。盾でガードされるが、構わず振り抜きガードを弾いた。がら空きになった胴体に突きをくらわす。背後から殺気。まずい。即座にカイトシールドで防御の体勢をとるが間に合わない!


キュイイン!俺に襲い掛かった闇騎士を青い閃光が貫いた。


「サンキュー!アントニー!恩に着るぜ!」


にかっと笑うアントニー。その背後からさらに闇騎士が切りかかるのが見えた!


「アントニー!避けろ!」


この距離からでは、魔法や奇跡が使えない俺はそう叫ぶほかなかった。どうする。どうしようもない。


その刹那、アントニーに切りかかる闇騎士を太陽の光の矢が貫いた。

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