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番外編 ローラの置手紙

二話で出会ったおじいさんたちとローラの隠れたお話です。


 わしはジェイ。いわゆる、ローラに助けられた「おじいさん」じゃ。

 ローラがいなくなったあの日から数日がたつ。

 一瞬の出会いだったが、ローラのおかげで孫にも再会できた。

 もっとそばにいてほしいと願い、ローラに言おうとした。

 けれどローラはわしたちがそう言おうとするたびに、孫たちを見て笑うのじゃ。

 まるで、お孫さんを大切にしてくださいというように。


「ローラは元気にしてるかね、テケ」

「今は王子様のもとにいると、手紙が届いたよ、ジェイ」

「そうか。それはよかったな……」


 離れ離れはさみしいが、幸せでいてくれるなら、それでよいのじゃ。

 だってローラはわしたちを救ってくれた。

 もっと幸せな場所に移動したって、いいと思うのだからな。

 そして。


「そういえば、ローラのいた部屋に何か置いてあったけどなんだろうねぇ」

「本当か、テケ」

「ええ。何かお手紙と包みがあったよ」

「……何で今まで気づかなかったんじゃ」

「隠すように、置いてあったのだよ」

「……ローラらしいのぉ」


 わしは、ローラのいた部屋に入る。

 そこには質素な手紙と、質素な包みがあった。

 なんだろうねぇ、と思いつつ開いてみる。


「何々?『おじいさんおばあさん、出会えてうれしかったです。さみしいですがお邪魔にならないように、旅立ちます。お孫さんや息子夫婦さんたちと仲良く過ごしてください、余った薬草の一部でお薬を作りました。あとは、この前拾った可愛いお花でポプリを作りました』……ふむポプリになってないな、 ただの生花じゃ」


 わしは、泣きそうになる。

 一見あっさり出ていったローラは、そんなことを考えていたのかと。


「優しい子じゃのぉ……っと、この花は……貴重な薬になる花じゃ……ローラは気づかなかったようじゃがの……最後にまた、幸福を置いていったのぉ」


 そっとポプリを抱きしめ祈る。

 ローラに、幸運が舞い降りるようにと。

 わしを助けてくれたローラに、笑顔がなくならないようにと。


 ……きっと、叶うはずじゃ。



いつも応援ありがとうございます。

番外編を時々挟みますので是非読んでやってください♪

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